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2024
一等三角点:飛島【山形県酒田市】
一等三角点: 飛島【山形県酒田市】
日本海に浮かぶ小さな島 飛島から鳥海山を望む
奥の電柱の傍らに三角点らしき角柱がひっそりと埋もれていた
一等三角点としてはかなり地味な存在の『飛島』TR15239743801
お約束の GPSチェック
基準点名: 飛島
一等三角点
コード:TR15839642303
位置:39°11′02″.1049 N, 139°32′38″.4077 E, 57.90m (世界測地系)
20万分の1地勢図名:酒田
5万分の1地形図名: 酒田
山形県と秋田県の県境を日本海側にそのまま延長した沖合40km程の場所に飛島がある.島の全周は10km程、島の人口はわずか200人にも満たないとても小さな島だが、酒田港との間で定期船が運行されており、漁業と観光を生業としている島だ.
この一等三角点【飛島】はたまたまこの島を訪れた際に、お散歩の途中に見つけたもので、道しるべに書かれていた『経緯度観測点』が気になって行ってみたところ、経度観測点の近くに設置されているのを偶然見つけた次第だ.最初は三等か四等三角点だろうと思って、近づいてみたら何と一等三角点だった.
今まで出会った一等三角点の中で最も地味で目立たない物だった.いつもの『一等三角点 国土地理院』(三角点を大切に)の白い標柱もないので、三角点マニアでもなければその存在に気付かないだろう.
飛島は本土から40km程離れているので、三角点の設置基準からすれば一等三角点が設置されているのは当然と言えば当然なのだが、こんな小さな島で一等三角点を見つけると何となく得をしたような気になる.
道しるべにあった謎の『経緯度観測点』であるが、直径70cm、高さ60cm程の円柱状に固められたコンクリートの塊で、上部の中心に10cm程度の正方形の銘板が埋め込まれている.円柱の側面に埋め込まれた銘板には旧字体で『経緯度観測点』昭和?年と記されていた.
銘板の文字は読み散りにくいが昭和3年と記されているようだ
後でWEBで調べてみたところ、この『経緯度観測点』は昭和初期に『大陸移動説』という地球科学分野の新説が発表された際に、それを実際に検証するために設置された物だそうだ.三角測量の原理で基準点のずれを計測するということなので、この飛島と、同じく一等三角点が設置されている秋田と山形の県境の三崎山 TR15839574101(161.3m)、酒田市の飯盛山TR15839266601(41.6m)にも同じ物が設置されているそうだ.
今ならGNSSを用いて簡単に精度良く地殻のずれを観測できるが、当時の技術ではこのような測定方法しか方法がなかったのだろう.この『経度観測点』については(社)秋田県建設業協会が発行している会報誌の『土木建築の近代化遺産No. 72 』として取り上げられているので、興味のある方はこちらの記事を参考にすると良いだろう.