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02
2014
Pentax K-5IIs でのマニュアル撮影
Pentax関連の面白グッズ
GPSユニット O-GPS1(左) と AF ADAPTER 1.7X(右)
野鳥撮影用に興和のPROMINAR 500mm レンズ(兼フィールドスコープ)とPentax K-5IIs を入手してこれから野鳥撮影に挑戦しようとしているところだが、Pentaxの一眼デジタルカメラの周辺には結構面白い周辺機器が発売されているので紹介しようと思う.
・GPSユニット PENTAX O-GPS1 (ヨドバシカメラで 18,200円 3/2 2014時点) ・SMC PENTAX-F AF ADAPTER 1.7X (ヨドバシカメラで 40,800円 3/2 2014時点)
GPSユニット O-GPS1 に関しては他のカメラメーカーでも同様な機器が一眼デジタルカメラ用に発売されているので、何処にでもあるようなGPSユニットの様に思えるかも知れないが、実は他社とは丸っきり異なるユニークな特徴を持っている.
1つは地磁気センサー、重力(加速度)センサーを持っていて、GPS衛星から緯度経度、高度情報を取得するだけではなく、自分でカメラのレンズが向いている方位や仰角などの情報が取得できるようになっている.撮影したJPEG画像のEXIFタグには一般的な緯度経度、高度情報以外に方位(Direction)が記録される.方位に関してはiPhoneなどのスマートフォンの内蔵カメラでは以前から取得できてはいたが、カメラ用のGPSでこの方位情報を記録出来るGPSユニットは恐らくPentaxだけだろう.撮影した方位が記録に残っているのは、山岳写真の記録としてはとても心強い味方だ.よくある事だが、後で写真に写っている山を同定する際に、地図と照らし合わせることで容易に識別できるようになる.
方位情報の記録機能だけでは、2万円弱も出して新たにGPSユニットを買う程の動機とはならないが、今回このPENTAXのGPSユニットを購入した最大の動機は、『アストロトレーサー』という機能だ.
これは一言で言うとPentax一眼デジタルカメラのボディー内手ぶれ防止機能とGPSユニットからの三軸方向の姿勢情報を上手く利用して、星の日周運動によるイメージセンサー上の像点の移動を、イメージセンサーそのものを動かす事によって打ち消す、すなわち星を点像のままイメージセンサ上に長時間(最大5分程度)結像させることが可能だ.要するに赤道儀のような天体撮影を行うための高価な機材を用意することなく、静止した星の写真が撮れるということだ.
残念ながらまだアストロトレーサーの機能は試すことができていないので、O-GPS1によるアストロトレーサーの使い心地については、別な機会に紹介しようと思う.
SMC PENTAX-F AF ADAPTER 1.7X
KOWA Prominar 500mm(TX-07) + AF ADAPTER 1.7X + K-5IIs の組み合わせ
こちらのオートフォーカスアダプタはPentaxがまだ旭光学の頃に発売された息の長い製品で、Pentaxの一眼レフ用がオートフォーカスに移行する際に、旧製品の交換レンズを無理矢理オートフォーカス対応させるためのアダプタとして用意された物である.ニコンのFマウント同様、PentaxのKマウントも物理的な形状を殆ど変更していないので過去のレンズ資産を新しいカメラにマウントさせることができるようになっている.勿論古いレンズを物理的にマウント出来るとは言っても、新しいカメラの機能に対応しているわけではないが、機能制限付きでも古いレンズ資産を活かせることはユーザにとってはとても重要な事だ.
私自身はこれまでPENTAXを所有してこなかったので、古いレンズ資産は何も持ち合わせていないが、今回PROMINAR 500mm テレフォトレンズをPentax K-5IIs との組み合わせで使うことにしたので、今回めでたくPENTAXユーザの仲間入りをさせて貰うことになった次第である.
超新米PENTAXユーザではあるけど、今後PENTAXのカメラ製品を使いながら気になった事や何かの役に立ちそうな事柄を見つけたら記事にして行こうと思う.
ちなみに、Prominar 500mm + TX-07 + AF ADAPTER 1.7X の組み合わせでは、その合成焦点距離は、500mm X 0.7 X 1.7 = 595mm、重量は約3kg(Prominar 500mm + TX-07 約2kg、AF ADAPTER 1.7X 135g、K-5IIs 約800g)になる.レンズの合成の開放絞り値は F5.6 X 0.7 X 1.7 = F6.7 という事になる.
APS-Cサイズのイメージセンサを持つK-5IIsを35mm版サイズに換算すると1.5倍相当になるので、昔の135フィルムの一眼レフユーザの感覚では約900mmの軽量な超望遠レンズということになるだろう.焦点距離の割には軽量なProminar 500mmとは言え、総重量3kgの機材を手持ちで撮影し続けるのは厳しいので、やはりちゃんとした三脚や一脚を使用しないと無理だろう.
マニュアル撮影モードの困った仕様
まだPENTAXを使い始めて1週間しか経っていないが、既にPROMINAR 500mm テレフォトレンズとPentax K-5IIs との組み合わせでちょっと困った事態に遭遇している.PROMINAR 500mm テレフォトレンズは今時のレンズとしては珍しく、完全なマニュアルレンズ(オートフォーカスも絞り自動制御もできない)なのだが、肝心のPentax K-5IIs側が完全なマニュアルレンズを受け入れる体制になっていないのだ.
Manualモードにも関わらず絞り値の設定ができない困った仕様
私はニコンのフィルム時代からの一眼レフユーザなので、マニュアルレンズによる(手動フォーカス、手動絞り、手動シャッタースピード)撮影そのものは全く問題無いのだが、Pentax K-5IIsではマニュアルレンズに対しては絞りとシャッタースピードの設定をユーザ側で自由にコントロールできないのだ.
私は昔の一眼レフのように、撮影モードをマニュアルモードに設定すれば、絞りとシャッタースピードは自由に設定できるものだと思い込んでいたので、Pentax K-5IIsを弄ってみて初めて完全なマニュアル撮影が行えないことに気が付いた.コンデジと呼ばれるデジカメならいざしらず、まさかプロ御用達の一眼デジタルの世界でもここまでマニュアル撮影切り捨てが行われていたとは思いもよらなかった.
今回このオートフォーカスアダプタを購入したのは、実はPentax K-5IIsでのマニュアルレンズの使い難さを少しでも解消して、何とか実用的な野鳥撮影を撮ることが目的だ.勿論、年齢による動体視力や反射神経の衰えをオートフォーカスの力を借りて補うという思いも在るが、露出制御のコントロールをある程度自分の手でコントロールできるようにすることが最大の目的だ.
このアダプタを単にレンズとボディーの間に挟むだけでは、単なるテレコンバータとオートフォーカスの機能が追加されるだけで、露出制御のコントロール機能が付加される訳ではないが、ちょっとした小細工をアダプタに施すことによって、Pentaxの最近の一眼デジでのマニュアルレンズの使いにくさを解消することが可能だ.
オートフォーカスアダプタを導入する上での副作用としてレンズの焦点距離がX1.7倍になるというメリットもあるが、逆にレンズの明るさが1/1.7になることに加え余計な光学系が間に入ることによる解像力の低下や収差の増大などの問題を引き起こすことになる.とは言え、野鳥撮影では長い焦点距離のレンズとフォーカシングのアシスト機能が得られることのメリットの方が大きいだろう.
電気接点に小細工を施すと絞り値をある程度コントロール可能になる
次回の記事では、Pentaxのボディーとレンズの間の電気接点を通じたレンズの絞り値の情報の受け渡しについて簡単に紹介しようと思う.この絞り値情報の伝達の仕組みさえ理解できれば、電気接点部分の小細工によってPentaxの最近のマウント仕様に適合していないレンズで何とか実用的な撮影が行えるようになるだろう.
PENTAXの設計者や商品コンセプトをディレクションする人達はマニュアルレンズを絞り値固定で撮影する事など眼中に無いのだろうか? 折角TAvモードという任意のシャッタースピードと絞り固定の状態でISO感度自動変動モードで撮影する機能が備わっているのだから、マニュアルレンズでその機能を有効に使えないというのは何とも理不尽だ.こんな機能はファームウェアの作り込みで何とでもなる簡単な事の筈だが…