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05
2016
大峯北奥駈道のんびりトレイル(その2)
山上ヶ岳を経て小笹ノ宿へ
昨夜は二蔵小屋は満員で小屋の周りでテントが10張り程あっただろうか.テントを持たない人は小屋の軒先でシュラフ一枚で寝ていた.昨夜の冷え込みはきつかったのでさぞかし大変だっただろう.連休中に奥駈を行う場合にはテントは必携だ.
奥駈を行っている人達は皆夜明けとともに出発して行く.一日の行動時間を少しでも延ばして距離を稼ぎたいということと、早い時間に小屋やテント場を確保しなければならないので皆必死だ.私はのんびり路線に変更したので小屋でゆっくり朝食を済ませてから出発だ.
今日はは雲一つ無い快晴で最高の山登り日和になりそうだ.先ずは大天井ヶ岳を越えなければならないが、400m程一気に登らなければならない.何故か登山道の真ん中を林業用のモノレールが敷かれている.普通なら登山道を避けてモノレールが設置するのだが...
大天井ヶ岳の頂上からの展望はイマイチで、そそくさと次の山上ヶ岳へ向かう.山を下りきった先に五番関と呼ばれている女人結界門がある.山上ヶ岳は日本で唯一現在も常時女人禁制が敷かれている山だ.一登山者から見れば何とも時代錯誤な話だが、山岳修験道を守りたい人達にとっては女人禁制は今後も維持したいのだろう.ここから先は山岳修験道の聖域なので、お邪魔させて貰うという気持ちで山上ヶ岳へ向かう.
同辻茶屋で洞川温泉方面からの登山道と合流すると一気に人が増えた.同辻茶屋は休憩所として現在も登山客やお参りの人達に飲み物やお土産物を提供しているようだが、まだ開山前なので営業はしていなかった.同辻茶屋の先に陀羅尼助茶屋があり、そこから道は二手に分かれるが今回は左手の鐘掛岩経由のルートを選んだ.
鐘掛岩と呼ばれている行場からは洞川や吉野方面を一望することができる.おじさんが鐘掛岩をよじ登りホラ貝を吹いていた.鐘掛岩の先には西ノ覗と呼ばれている崖の上の行場がある.上半身にロープを括り付け半身を崖から突きだして懺悔を行う修行で、良くテレビで紹介されるので一般の人にとっては山岳修験道のイメージはこの光景だろう.
辺り一帯には夥しい数の古い石碑が建立されていて、三十三回、百回などの大峯修行を行った記念の碑のようだ.正しく山上ヶ岳が山岳修験道の聖地であることを実感させられる.歴史と伝統はこのまま維持して欲しい気持ちもあるが、石鎚山のようにある特別な期間だけ女人禁制を設けるなど、新しい次のステップに進むべきなのではないかと思う.
等覚門を潜り抜けるとその先に五軒の宿坊が建ち並んでいる.5月3日の開山前なのでまだ宿坊は営業していなかったが、どの宿坊も営業前の準備で忙しそうだった.大峯山寺の本堂もまだ閉まったままだった.本堂の正面には平坦な小笹の繁る丘があり、展望も良く長居をしたくなるような快適な場所だった.山上ヶ岳の頂上にあたる湧出岩と呼ばれる場所の手前には一等三角点が設置されており、山上ヶ岳は一等三角点百名山にも選定されている.
山上ヶ岳を後に次の小笹ノ宿に向かう.小笹ノ宿の次は行者還小屋となるが、小笹ノ宿から行者還小屋までは5〜6時間は掛かりそうなので、今日は小笹ノ宿で打ち切りにすることにした.小笹ノ宿の避難小屋は三名しか収用できないとても小さな小屋だが、奥駈道で一番豊富な水場があるという事なので、ここでテントを張ってまったりするのも良いだろう.
午後1時過ぎには小笹ノ宿に着いてしまったが、定員三名の小屋は既に先着者で一杯で、テントが3張り程張られていた.小屋の直ぐ傍らに直ぐ水場があり、谷から湧き出す水が蕩蕩と流れている.小笹ノ宿はテントを張るには絶好の場所だ.ミソサザイ君のさえずりと水音をバックにまったりと贅沢なお昼寝を楽しむ.
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