7
31
2021
羽黒山
羽黒山
本合海から船で最上川を下った芭蕉と曽良は清川で下船し、出羽三山に詣でるため羽黒山の麓にある手向(とうげ)集落へ向かっている.手向地区は今でも数多くの宿坊が営まれており、毎年夏になると全国から大勢の参拝客が訪れているようだ.
六月三日(7月19日)申刻(夕方5時頃)に手向集落に着いた芭蕉と曽良はその日の内に、羽黒山の南面中腹の南谷別院に入り、出羽三山詣でのための準備に取り掛かっている.
観光船での最上川下りを諦め、古口駅から再び列車で最上川に沿って余目駅へ向かい、羽黒山へ向かうバス便が出ている羽越本線の鶴岡へ向かった.途中列車の窓から白糸の瀧が見えたが、線路の周りは木々で遮られているため最上川の様子をじっくり伺うことができず終いだった.
鶴岡駅前から羽黒山頂行きのバスに乗り、手向地区にある羽黒山の表参道の入り口となる随神門でバスを降り、羽黒山の表参道の石段の風情のある道を歩いてみることにする.バスの車窓からはこれから向かう羽黒山方面の上空が真っ黒な雲に覆われており、雷雨に巻き込まれそうな気配だ.
バスは羽黒山の頂上まで運行されているが、杉並木の参道を歩いてみたかったので途中の随神門というところで下車した.随神門の周辺は大勢の観光客で賑わっており、随神門のバス停では大勢の乗客が山頂方面向かうバスを待っていた.どうやらこの人たちは山頂に車を置いて参道を降りてきた人達が再び山頂へ戻るためにバスを使っているようだった.
大勢の観光客の流れに逆らうように、歴史のある表参道の石段の道をあくせく大汗をかきながら登って行く.予想通り歩き出して直ぐに雨が降り出した.参道の廻りは杉の巨木で囲まれていて、薄暗く鬱蒼としている.折からの雨も加わって、何もしなくてもじっとりと汗が噴き出してくる.
静かな参道歩きを期待していたが、次から次へと降りてくる観光客でそれも侭ならなかった.途中雨が強くなる度に、木陰で雨宿りを繰り返しながら2,446段もあるという石段を昇って頂上へ辿り着いた.残念ながら出羽三山神社の三神合際殿は萱葺き屋根の葺き替え中ということで工事用の足場が組まれていた.折悪しく土砂降りの雨となってしまったので、駐車場のトイレで雨宿りをしながらそのまま帰りのバスを待つことにした.
Zoom Level: Bearing(Heading): Pitch: Grid Interval: