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2016
大峯北奥駈道のんびりトレイル(その4)
弥山から釈迦ヶ岳、深仙ノ宿を経て前鬼へ
昨夜は弥山小屋の周りは奥駈縦走組や家族連れのテントで一杯だった.大峯山寺のある山上ヶ岳とは違い、弥山と八経ヶ岳は家族連れでも比較的登り易い山のようだ.行者還トンネル西口周辺にテント場があり、奥駈出合まで1時間ほどで登って来ることができるようだ.行者還トンネル西口まで車で入れば簡単に日帰り登山を楽しめるのだろう.
弥山から八経ヶ岳までは20〜30分程だろうか.近畿圏で標高の一番高い八経ヶ岳の頂上からは360度の絶景を望むことができる.弥山に泊まり朝一番で八経ヶ岳の頂上から御来光を眺めるのも良いかもしれない.明星ヶ岳、仏生ヶ岳、孔雀岳を経て本日のメインイベントとも言うべき釈迦ヶ岳へ向かう.
途中で完全な行者姿の外国人女性とすれ違った.奥駈道では何度も行者さんを見かけたが、外国人の行者さんは初めてだ.単なる観光ではなく本格的に修行をしているようだ.鳥の水と呼ばれているコース沿いの水場でたっぷりと給水してから釈迦ヶ岳へ向かう.
釈迦ヶ岳の上りも結構大変だが、ここを過ぎれば後は大部分が下りとなる.頂上に安置されているという釈迦如来像は遠くからも確認できる.釈迦ヶ岳の頂上は何故か蜂だらけで、写真に黒い点として写り込んでしまうのが困りものだ.お約束の一等三角点チェックを済ませてから、西行さんと関わりの深い深仙ノ宿へ向かって山を下りて行く.
深仙ノ宿には小さな避難小屋と潅頂堂と呼ばれる小さなお堂が建てられている.お堂から少し離れた崖下に香精水と呼ばれている水場があった.水量はチョロチョロ程度でこの日は1リットルの水を溜めるのに1分以上は掛かりそうだった.ここでランチ休憩をしながらのんびり過ごした.
山家集には深仙ノ宿で詠んだとされる三首の歌が載っている.
大峯の深仙と申所にて月を見てよみける
深き山に澄みける月を見ざりせば 思ひ出もなき我身ならまし [山家集 雑1104]
嶺の上も同じ月こそ照らすらめ 所柄なる哀なるべし [山家集 雑1105]
月澄めば谷にぞ雲は沈むめる 岑吹払ふ風に敷かれて [山家集 雑1106]
時間があればここで一泊して月を眺めたい所だが、明日は天気が崩れて雨になりそうなので今日中に前鬼まで下りてしまうことにする.太古の辻から前鬼までは二年前に土砂降りの雨の中を歩いてはいたが、廻りの景色を眺めている余裕など無かったので今回はじっくりと時間を掛けて下りて行くことにする.
前回は歩き難いとてもしんどい道だと感じたが、天気が良くてもこの下りは結構堪える.石ころゴロゴロ、階段だらけで嫌になる.ここを登るのはさぞかししんどい事だろう.前鬼が近づくにつれてトチノキなどの広葉樹林帯の森となる.みずみずしい新緑の森の中でミソサザイやヒタキ類、オオルリなどの野鳥の囀りに包まれているととても贅沢な気持ちになれる.このまま前鬼まで下りてしまうのは勿体ないので、思い切り時間を掛けて森の中を散策してきた.
かつてあったという宿坊の跡の石垣が見えてくると小仲坊は直ぐ先だ.今回は小仲坊のキャンプ場でテントを張らせて貰うことにした.前回は雨で行者堂が閉まっていたが、今回は行者堂の扉は開いていて中の様子を伺うことができた.前回は連休の最終日前日とうこともあり、40人以上泊まれるという宿泊所は満員だったが、今回はテントが10張り程度で、宿泊客が数名程度でとても落ち着いた夜を過ごすことができた.
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