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09
2012
Garmin BirdsEye Map
Garmin GPSのBirdsEye Mapについて
これまで数回に分けてGarmin GPSでラスタイメージベースのカスタムマップやベクトルタイプのマップソース互換マップを作成する方法について紹介してきたが、最近のGarmin GPSにはBirdsEye Mapと呼ばれるラスタイメージベースのマップを取り扱う機能が備わっている.
BirdsEye Mapで用いられているJNX形式のイメージマップについては、Garmin社からは詳しい情報は公表されていないようだが、一部のハッカー達がJNX形式のイメージマップについて独自に解析した結果を公表しているので、自分たちで独自のJNX形式のイメージマップを作成し、GarminのGPS上で利用している人達も多い.但し、JNX形式のイメージマップはGarmin社から販売されている純正Mapと同じように、GPSデバイスに紐付けられた(デバイスロックされた)マップ形式なので、GPS本体のファームウェアにパッチを当てたり、コンピュータに精通していないと難しい作業が伴うので、一般のユーザにとってはかなり敷居が高いだろう.
西ヨーロッパ地域へ移動
パリの中心部へズームイン
更にズームイン
ようやくエッフェル塔が見えてきた
eTrex30(英語版)におまけで付いてくるBirdsEyeマップのサンプル画像を表示してみたところ(“Demo.JNX”)
Garmin純正BirdsEye Map
GarminのBirdsEye Mapについては、Garmin (U.S.) のホームページ [ http://www.garmin.com/us/maps/birdseye ] に説明があるが、まだ販売されているマップの種類は少ないようだ.
BirdsEye MapはmicroSDカードやDVDなどで販売されている地図データと異なり、基本的に高精細の衛星写真マップにアクセスできる1年間のサブスクリプション(定期購読)サービスという形を採っている.
・BirdsEye Satellite Imagery Subscription $29.99 USD
一応全世界をカバーしているようだが、地域によって衛星写真の整備状況がまちまちのようで、日本の高精細衛星写真情報が得られるかどうかは不明
・BirdsEye Satellite Imagery(マップサンプル)
・BirdsEye TOPO, U.S. and Canada $29.99 USD
アメリカ、カナダ版の1/24000, 1/50000 地形図サービスといったところだろうか
・BirdsEye Select
ヨーロッパの一部(フランス、ドイツ、大英帝国、東アルプスなど)の地域の1/25000, 1/50000 地図
JNXファイル形式に関するハッキング情報
JNXファイルを解析したハッカーが公開しているページは幾つかあるようだが、ロシア人の方( Whiterさん?
JNX Raster Maps
このページ自体はロシア語と英語の両方で記述されているが、JNX形式のラスターイメージマップとカスタムマップとの違いが表形式で簡潔に纏められているので、日本語に直した物をここで紹介しておく.
項目 | JNX形式 | カスタムマップ(KMZ) |
---|---|---|
地図の表示レベル | 最大5段階 | 1段階のみ |
タイル数 | 1レベルに付き最大50,000 | 1デバイスで最大100, Montanaは500 |
地図のレンダリングスピード | 高速 | 低速 |
デバイスロック | ロックされている | フリー |
画像のソース | BirdsEyeタイプのみ | ラスタータイプのマップ |
デバイス当たりのマップ数 | 最大200(2011年3月までのFirmware), 最大250(新Firmware) |
ユーザが独自にJNX形式のマップを作成してGarmin GPS上に載せるには2つの方法があるようで、
1.Garminのファームウェアにパッチを当てて、デモモードで複数のJNXマップを使えるように変更する方法
パッチ当てプログラムのダウンロード先: http://whiter.brinkster.net/FirmwarePatcher.asp
対応している機種、ファームウェアのバージョン情報: http://whiter.brinkster.net/en/Versions.shtml
2.”BaseCamp” を用いて自作のマップをアクティベートする方法.
自作のJNXマップを一旦GPSデバイスにアップロードした後、”BaseCamp” を起動し、
BaseCampの”My Collection” にコピーした後、直ぐにGPSデバイス側に書き戻す処理
を行うと BaseCampが地図をアクティベート処理して、GPSデバイスに紐付けてくれる
(デバイスロック)らしい.
但し、この方法は正規の BirdsEye Map サブスクリプションを購入していないと使えない.
の二通りの方法が有るという.
JNX形式Mapを作成するためのツール
JNX形式のMapをユーザが作成するためのツールは幾つか出回っており、MAPC2MAPC, mobat2jnx, map2jnx などが入手可能.
・MAPC2MAPC http://www.the-thorns.org.uk/mapping/
・mobat2jnx http://www.the-thorns.org.uk/mapping/help/jnx.html
・map2jnx http://qlandkartegt.svn.sourceforge.net/svnroot/qlandkartegt/map2jnx/trunk/
・OkMap http://www.okmap.org/
・Global Mapper http://www.globalmapperforum.com/
・QLandkarte GT http://www.qlandkarte.org/
QTLandkarte GTでBirdsEyeサンプルを表示してみた
日本で開発されているJNX関連ツール
JNX関連のツールに関しては日本で開発されたバージョンも有るので、下記の情報にアクセスすると良いだろう.
・【ymapjnx】Garmin BirdsEye JNX 作製ツール http://biciliata.appspot.com/ymapjnx.htm
・ymapjnx http://biciliata.appspot.com/ymapjnx14.zip
・gsijnx http://biciliata.appspot.com/gsijnx02.zip
ymapjnxは Yahoo! Japan Map から地図データを切り出しJNXファイルを作成する.gsijnx は電子国土の背景地図から地図データを切り出しJNXファイルを作成する.
この2つのプログラムはPythonベースで作成されており、このツールを利用するにはそれなりのコンピュータスキルが必要だろう.
“SyncMap” 有償のBirdsEyeマップ作成ツール
上記のツールを使いこなすにはそれなりのコンピュータスキルが要求されるので、一般のユーザにはかなり敷居が高いと言えるが、札幌に本拠を置くアスリートガジェットという会社が、”SyncMap” という Windows PC & Mac用のGarmin BirdsEye形式マップの作成支援ツールを販売している.
SyncMap購入時に発行される独自のアクセスコードを入力しないとアプリが使えない仕組みになっているようだが、作成した地図データそのものにはデバイスロックコードが埋め込まれる仕組みではないようだ.Garminのデバイスロックの制限をどのようにしてクリアしているのかは不明だが、GarminのGPSデバイス側でBirdsEye形式マップの仕様変更があった場合、このアプリで作成した地図がGPSデバイス側で読み込めなくなる可能性があると言えるだろう.
Garminがサードパーティー製のBirdsEye形式マップの流通を認めていて、BirdsEye形式マップの作成に必要な情報を提供しているのであれば問題無いが、サードパーティの開発元が独自に解析(ハッキング)した結果を基にこのアプリの開発をしているのであれば、このアプリの購入はそれなりのリスクを伴うことを認識して置いた方が良いだろう.Garminのサポートがないというリスクはあるが、一般のユーザでも容易にBirdsEye形式マップが作成できると言う点では試して見る価値はだろう.