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2008
別格7番 金山出石寺への遍路道
出石寺への遍路道について
出石寺境内から石鎚山の方向を望む
【2023年4月時点での情報はこちらを参照下さい】
https://y2works.net/trip/2023-04-10/walking-route-to-syussekiji-on-2023-spring/
2023年4月に実際に遍路道を歩いた時のGPSトラックデータ
[地蔵ルート: 緑、瀬田ルート:青紫 ]
https://y2works.net/maps/GSIJVectorTile.html#14.5/33.51884/132.48463/-90.4/22 (別ウインドウで表示)
遍路道に関する事前情報の取得について
昨年(2007年)の春に別格20霊場を含めて歩いて四国108カ所を廻ったが、別格霊場に関する情報はどうしても不足しがちだ.別格7番 金山出石寺 は別格霊場の中でも、20番の大滝寺と並んで困難な場所にある.別格を廻っている皆さんの少しでもお役に立てばと思い、今回出石寺と大滝寺(夏子ダムルート)の遍路道を実地調査してきた.
出石寺へ向かう遍路道としては大洲ルート、地蔵ルート、瀬田ルートの3つが代表的なルートだろう.これ以外にも西大洲から高山地区を経るルートや麓の集落から続いているルートなどが有るようだ.
歩き遍路が出石寺を打つ場合、宇和方面から鳥坂峠を越えて大洲の街に入る手前から左に折れ、平野を経由して地蔵ルートか瀬田ルートで出石寺へ向かう方法と、大洲の街に入ってから阿蔵、高山地区を経て打戻りで出石寺へ向かう大洲ルートが一般的なルートだと思う.
この3つのルートはそれぞれ一長一短があるが、大洲ルートは大部分がアスファルト舗装された自動車道で、勾配も緩く体力に自信のない人や山歩きに不慣れな方でも安心して歩けるコースだろう.但し、勾配が緩い分距離は長くなるので、私のような舗装道路が大嫌いなタイプには苦痛だろう.景色はそこそこ楽しめるのでのんびりと余裕を持って歩く場合には良いかも知れない.
地蔵ルートは大部分が地道の遍路道か未舗装の農作業道で、距離は一番短いが山の斜面を歩く事が多く、山歩きが苦手な人にとってはちょっと辛いかもしれない.途中民家も殆ど無く道を尋ねることもできない.普段から山歩きをしている人であれば気軽な低山ハイキングコース程度の山道だと思えば良いだろう.
瀬田ルートは大洲ルートと地蔵ルートの中間のようなコースで、自動車道と遍路道が半々といった感じだろうか.このルートは遍路道が車道をショートカットしているのが特徴で、遍路道のショートカットを見つけられないと延々と車道を大廻りしなければならなくなる.現在では地元の有志の方々などが遍路道の整備をされており、遍路標識なども整備されているようなので以前よりは大部歩き易くなっている事だろう.所々に小さな集落はあるが人に会うことは希だ.
大洲市内の宿に連泊する場合は、荷物を宿に預けて身軽な状態で出石寺まで往復するのが一番楽な出石寺の攻略方法だろう.大洲ルートをピストン(往きと帰りで同じコースを辿る)するか、往路は平野経由で地蔵・瀬田ルートで出石寺へ向かい、復路に大洲ルートで下りて来るという方法も採ることができるだろう.
この大洲ルート以外にも、遍路地図『四国遍路ひとり歩き同行二人』には、伊予平野方面から沼田川沿いに瀬田地区を抜ける瀬田ルートと伊予平野方面から地蔵堂を経て小さな沢沿いの林道を通り梶ャ谷地区の上を通って大洲ルートの車道へ合流する地蔵ルートが載っている.
私の2007年春の遍路旅では宇和から大洲西トンネルを抜け、瀬田ルート経由で出石寺へ向かい、翌日大洲ルートを下りて内子方面へ向かった.瀬田ルートでは肝心の遍路道の入り口がわからずに車道を延々と大廻りせざる負えず、非常に辛い思いをした.この瀬田ルートでは遍路道のショートカットが使えない場合は、倍以上の距離を歩かなければならないことを覚悟しないといけない.
今回は前回の雪辱戦という訳ではないが、伊予平野から地蔵堂経由の地蔵ルートを歩いて登ってみることにした.前回大洲ルートで山を降りる時に高山東地区から遍路道を外れて間違って西大洲駅方面へ下りてしまったので、今回は道を間違わずにきちんと大洲方面へ、事前に国土地理院発行の詳細な地図(1/25000) を用意しておいた.
別格霊場への遍路道は、88カ所霊場への遍路道とは違って、あまり歩く人が居ないので遍路標識が未整備だったり、遍路道が荒れていたり消失していたりして歩きにくいことが多かったので、少しでも別格を歩いて廻る皆さんのお役に立てればと思い、遍路道に関する補足情報を公開することにした.
遍路地図だけではどうしても情報が不足しがちなので、できれば事前に国土地理院発行の詳細な地図(1/25000)で遍路道に関する事前調査をしておくととても役に立つ.普段山登りをしている人はおわかりだと思うが、この 1/25000 の地図には通常の舗装された車道以外にも、軽4輪車がかろうじて通れるような舗装されていない作業用の道路までしっかり載っている.代表的な登山道は勿論、時には地元の人でも滅多に歩かないような芝刈りにしか使わないような山道すら載っている場合もある.
国土地理院では『地理院地図』として、WEBベースで国土地理院の地図データを参照したり、自分独自の書き込みを加えたりすることが可能なWEBページを一般向けに公開している.巷では Google Map を使うのが一般的になっているが、やはりこのような用途には国土地理院の地図データを利用するのが正確さや情報量などの点で唯一の選択肢となっている.
私はまだお世話になったことはないが、大洲市内に「ときわ旅館」というお遍路さんに好評な宿があり、出石寺へお参りに行く歩き遍路の多くが利用しているそうだ.ときわ旅館のご主人は出石寺の遍路道の整備や標識設置などにもご尽力されているようで、以前よりは格段に遍路道が歩き易くなっているようだ.
出石寺への遍路道マップ (赤:大洲ルート、深緑:地蔵ルート、青:瀬田ルート、黄緑:尾根ルート)
Google Maps【現在Google Mapsは利用していません】
Yahoo Japan Map(このサービスは終了しています)
大洲ルート高度プロファイル (大洲 → 出石寺)
地蔵ルート高度プロファイル (JR伊予平野 → 出石寺)
瀬田ルート高度プロファイル (JR伊予平野 → 出石寺)
遍路道の詳細については下記の記事を参照下さい
・『出石寺の遍路道について(その1:大洲ルート)』https://y2works.net/trip/2008-11-24/bekkaku_no7_route/
・『出石寺の遍路道について(その2:地蔵ルート)』https://y2works.net/trip/2008-11-27/jizou-route-1/