石鎚山 天狗岳


Date/Time: 2007:05:16 11:59:45
Camera: Panasonic
Model: DMC-LX2
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FNumber: 8.0
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2007

4/13 20番鶴林寺から22番平等寺へ

4/13 20番鶴林寺から22番平等寺へ


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鶴林寺、太龍寺の山越え


朝目を覚ますと窓の外は既に大分明るくなっていた.天気はあまり良くなかったが直ぐに雨が降り出すような気配はなかった.足の調子はまだ分からないが、いつまでも停滞している訳にもいかないのでとりあえず先へ進む事にした.


6時30分頃、宿のお婆さんに出立の挨拶をした後、次の札所である鶴林寺に向かった.大抵のお遍路さんは金子やさんのところから入る遍路道を選ぶようだが、横瀬橋から鶴林寺へ登る別な遍路道が有るので、今日はこちらの遍路道を歩く事にした.


こちらの方の遍路道は殆ど通る人が居ないので道が荒れているのではないかと心配したが、道もしっかりしていてとても歩きやすい遍路道だった.道が崩れて歩けない場所には鋼鉄製の立派な橋が架けられていた.どうやらこの橋が遍路地図に載っている鶴林寺遍路道保全橋のようだ.


柔らかい土の道のためか、足の痛みは殆ど感じなかった.この調子だと平等寺辺りまでは行けるかもしれない.誰も通らない静かな遍路道をゆっくり登って行くとやがて金子やさんからの遍路道と合流した.鶴林寺の山門が近づくと急に人の声で賑やかになった.既に団体さんが来ているようだ.山門から本堂までの参道の廻りにはよく手入れされた庭園のような光景が続いていた.


本堂の前に、二羽の鶴の置物が向かい合うように配置されていた.境内には立派な三重の塔も建てられている.標高500mの山の上のお寺の空気はとても心地が良い.いつものように本堂と大師堂の順にお参りをするが、今日はいつもはしないお願い事を一つだけさせて貰った.


鶴林寺の境内で暫く休憩を取ったのち次の太龍寺へ向かう.次の太龍寺も鶴林寺と同じくらいの高さの山の上にあるのだが、一旦谷まで下りてから再び登らなければならない.どちらも標高500m程の低い山の上のお寺だが、流石に続けざまに二回山を越えるのはきつい.


鶴林寺を出ると直ぐに急な階段が延々と続いた.ここの階段は段差も大きく足腰にとても負担がかかってしまった.痛めた足にはこの延々と続く階段は辛かった.遍路道に限らず一般的な登山道でも登山道整備と称して階段整備を行う場合が多いが、殆どの場合逆効果であることをいい加減認識して貰いたいものだ.


やっとの思いで谷底まで下り那賀川を渡る.暫く小さな川に沿った緩やかな舗装された林道が続いた.舗装された堅い道を歩いていると、痛めた左足が再びズキンズキンと痛み出した.やはり先程の階段で痛めた足にダメージを与えてしまったようだ.今更引き返すわけにも行かず、そのまま太龍寺へ向かうしかなかった.


痛めた左足を引きずりながらゆっくりとしたペースで緩やかな坂を登っていると、後ろからやって来るお遍路さん達に次々と追越された.これまでは人を追い抜くことはあっても追い越されたことはなかったので、ゆっくりとしか歩けない自分が余計惨めに感じられた.


少し歩いては暫く休憩するという状態を繰り返しながらのろのろと歩くことしかできなかった.途中で50代位の男性と、30代位の女性の二人連れが後からやってきた.何故だか分からないが、他人には満足に歩けない自分の惨めな姿を見られたくなかったので、休憩している振りをして何気なく二人が通り過ぎるのを待っていた.


登山口の手前にある休憩所に着くと、先程追い越された男性と女性の二人連れのお遍路さんが四阿で休憩していたので、私も一緒に四阿で休憩させて貰うことにした.女性の方からいきなり足を怪我されているようですが大丈夫ですかと心配されてしまった.自分では何でもないように振る舞っていても、やはりどこかに足を痛めて歩けない悲壮感のようなものが漂っているのだろう.


足を痛めて満足に歩けない事を話すと、私たちと一緒に歩きませんかと誘ってくれた.足手まといになるといけないので私に構わずに先に行って下さいと言ったが、そんな事気にせずに一緒に行きましょうと言ってくれた.折角の申し出なので、お言葉に甘えさせていただいて、太龍寺までご一緒させていただくことにした.


休憩所までは緩やかな舗装路だったが、この先からはかなり急な上りの山道が続くようだ.不思議なことに山道に入ると足の痛みは嘘のように感じなくなっていた.勿論足の状態が良くなったという訳ではないのだが、柔らかな土の道なので足に衝撃が伝わりにくいことと、足首を地面の不規則な形状に応じて柔軟に動かした事が良かったのか、殆ど普通のように歩く事ができた.


先程までは二人に付いていくのがやっとの事だったが、土の道では逆に私の方が先行して二人が追いつくのを待つという不思議な展開になっていた.二人が一緒に歩いてくれたおかげで11時前には無事太龍寺に着くことができた.


太龍寺の境内も落ち着いた雰囲気でとても良い感じだった.木々の合間から向かいの山の上の鶴林寺が見えている.時折、ロープウェイの発車のベル音が聞こえてくる以外は静かな山の上のお寺だった.お参りを済ませ境内で休憩をしていると、女性の方が納経所で購入した太龍寺の手拭いを見せてくれた.手拭いを頭に巻いた方が菅笠の台座の治まりも良くなるし、汗が目に入らなくなるので、私も太龍寺の手拭いを手に入れることにした.


手拭い購入ついでに捨心ヶ嶽経由の遍路道について納経所の方に尋ねると、道が崩れているのでそちらの道は行かない方が良いと忠告された.いつもなら迷わず捨心ヶ嶽の道を選ぶのだが、足の状態が良くないので今回は捨心ヶ嶽経由の遍路道は諦めることにした.二人は車道で下りていく龍山荘経由の道を行くということなので、私も車道経由で二人と一緒に山を下りることにした.


今夜の宿をまだ決めて居なかったので、宿を探さなければならなかったが、相変わらず宿の確保は難しいようだった.女性の方が昨晩一緒だった方が今朝になって山茶花という宿をキャンセルしたので、ひょっとしたらキャンセルされた分を押さえられるかもしれないと言うので、早速山茶花に電話してみたところ、運良くキャンセルされた部屋を押さえることができた.


一緒に歩いていただいた男性の方も今夜は山茶花に泊まるということなので、このまま22番の平等寺までご一緒させて貰うことにした.  昼食後、二人と共に太龍寺を後にし、駐車場の方向へ向かって山を下りて行った.境内から駐車場までは1km位はありそうだ.駐車場には車が数台 駐まっていたが、お寺まで1kmも歩かなければならないのでは車でお参りするのも大変だ.今は山の麓からロープウェイが通っているので、皆車を麓に駐めて、ロープウェイを使ってお参りするようだ.


堅い舗装道路の下り坂はとても辛かった.もろに足に衝撃が伝わり、一歩足を下ろす度に激しい痛みを感じる.あまりの痛みに耐えきれずに、数百メートル歩いては暫く休養するということの繰り返しだった.少しでも足の痛みを和らげるため道の両端に積もっている杉の落ち葉の上を選んで歩いた.舗装された下りの道は歩き遍路にとって最悪の道だった.特に足を痛めている私に取っては悪夢としか言いようがなかった.


何とか痛みを堪えながら龍山荘と坂口屋が有る付近まで下りてくると、そこからは先は緩やかな道になったので、大夫楽になった.平等寺まではまだ距離があるが時間的には大分余裕があったので、阿瀬比お遍路休憩所で暫く休憩することにした.のんびり休憩をしていると反対方向から男性お遍路さんがやって来た.この男性お遍路さんは何回目かのお遍路で、今回は逆打ちで廻っていると言っていた.女性の方が遍路地図の宿リストを開きながら、この逆打ちお遍路さんからお薦めの宿や、避けた方が良い宿、宿の混雑状況などを事細かに聞き出していた.


 私の場合は宿の当たり外れもギャンブルだと思って楽しむことにしているが、女性の場合はやはり宿の善し悪しは大問題のようだ.事前に情報を仕入れて評判の良い宿だけ泊まっていれば嫌な思いをすることは無いだろうが、それよりもたまたま自分が選んだ宿が良い宿であった方が良い思い出になると思うのだが...


 宿の話やら、靴の話やらで何だかんだで1時間近くも休憩所で時間を潰してしまった.午後3時過ぎ、ようやく次の平等寺へ向かって歩き出した.大根峠までは比較的緩やかな山道で、足の痛みを殆ど感じずに歩くことができた.柔らかな土の道を歩いていると心まで自然と穏やかな気持ちになる.女性の方は植物にめっぽう詳しく道端に咲いている花や木々について詳しく教えてくれた.


 遍路道の廻りには竹林が広がっていて、遍路道の至る所で筍が顔を出しているので、注意していないと筍につまづいてしまいそうだった.実際に筍が生えているのを見たのは初めてだった.土から顔を出してしまっているものは、筍としてはもう手遅れで食べる事ができないと聞いて何だかとても勿体ないような気がした.筍のけばけばした不思議な手触りが印象的だった.


 峠を越えるとやがて田圃や畑が続く田園地帯に出た.廻りで農作業をしているおじさんやおばさん達と自然に挨拶が交わされる.午後4時過ぎに今日の目的地の平等寺に何とか無事に辿り着く事ができた.女性の方は今夜の宿がここから離れた場所にあると言うことなのでお参りを済ませた後、お互いに納め札を交換してここで別れることにした.この女性は横浜から来ているOさんという方で、初めてのお遍路ということだった.基本は歩きで所々交通機関や車も使って廻っているようだった.別格も廻られていると言っていた.別格1番の大山寺は四国にいる友人の車でお参りに連れて行って貰ったと言っていた.このOさんとはこの後高知から愛媛にかけて再び一緒になるのだが、この時はまだ知る由もなかった.


Oさんと別れた後、男性の方と一緒に今夜の宿である山茶花に向かった.向かったと言っても山茶花は平等寺のすぐ隣である.宿の看板には、平等寺から8歩8秒と書かれている.宿に入ると元気な女将さんが迎えてくれた.この山茶花も歩き遍路には人気の宿のようだ.昼間は食事処として営業している四国遍路では良くみかけるタイプの宿だ.


大きなお風呂でのんびり湯船に浸かりながら、一緒に歩いていただいた男性の方と色々と話をした.この男性は岡山から来られているKさんという方で、今年で61歳だっと言っていた.とても60歳には見えず若々しかったが、家業を息子さんに任せてお遍路に来たと言っていた.今回のお遍路は5巡目で、歩き以外にも車などで何度か廻られているようだった.Kさんから戴いた納め札は赤い札で、予め住所と名前が印刷されていた.Kさんは流石にお遍路のベテランらしく、他のお遍路さんにはないある種の気品と優雅さを感じた.



起点
 
経由地
 
終点
区間距離
累積距離
備考
さかもと
 
 
かえで
4.5 km
4.5 km
4/12の分
かえで
 
 
20番 鶴林寺
2.2 km
6.7 km
 
20番 鶴林寺
 
 
21番 太龍寺
6.7 km
13.4 km
 
21番 太龍寺
 
 
22番 平等寺
10.9 km
24.3 km
龍山荘経由


この日の歩数: 46,674 歩 【累積歩数:316,036 歩 】 歩行距離:24.3 km【累積歩行距離:167.9 km 】

宿泊先: 山茶花 【TEL 0884-36-3701 】
        徳島県阿南市新野町秋山188-1

        朝夕2食付きで 6,300円前後(正確な金額は覚えていないが、確かこのくらい)
        洗濯機・乾燥機:有り(無料)
        平等寺のすぐ隣にある.『平等寺から8歩8秒』で着く!!!




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