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2014
大峯奥駈道(熊野速玉大社)
大峯奥駈道 第三靡 新宮
大峯奥駈道は熊野本宮と吉野を結ぶ大峰山脈の主稜線を踏破する山岳縦走路で、75箇所の靡(なびき)と呼ばれる行場を辿って修行を重ねる総延長170kmにも及ぶ修験道の根本道場だ.
奈良時代の役行者(役小角)によって始められたこの奥駈道は1,300年にも及ぶ歴史と文化を誇り、今でも毎年山伏スタイルの行者修行が行われている山岳修験道の神聖な山域だ.一般に熊野本宮から吉野へ向かうルートを順峯、吉野から熊野本宮へ向かうルートを逆峯と呼んでいる.
世界遺産に登録されてから知名度が上がり、この大峯奥駈道を縦走登山の一環として踏破する人達が増えた様だが、あくまでも修験道のためのルートなので一般的な縦走登山コースのように途中に営業小屋やキャンプ指定地のような便利な施設は殆ど無い.テントや食料などの縦走装備とそれなりの山岳経験を積んだ人だけに許される過酷なコースと言えるだろう.
75の靡のうち最初の靡が本宮で、二番目が那智山、そして三番目が新宮(速玉大社)という順序で、最後の靡が吉野の柳の渡しになっている.今回は休暇の日程の関係から全区間踏破は諦めて、南側の熊野本宮から釈迦ヶ岳の手前で前鬼へ下りる区切り山行(修行)にすることにした.
熊野本宮入りするには大坂から紀伊田辺経由で入るか、名古屋から紀伊半島を南下して新宮経由で本宮へ入る事ができるが、今回はまだ訪れた事のない新宮市内にある熊野三山の一つである熊野速玉大社を最初に訪れることにした.
熊野本宮は昨年末の熊野古道の小辺路トレイルで訪れているので、本宮から吉野まで歩くと高野山から吉野まで道がつながるので都合が良かった.速玉大社と本宮の間は陸路と熊野川を船で下る経路があるが、今回は時間が無いので路線バスで本宮手前にある川湯温泉の公設キャンプ場へ向かった.
このキャンプ場は大塔川の河川敷に設けられたオートキャンプ用の有料キャンプ場(一泊800円)だが、テント設営地は芝生が植えられていて設備も立派なとても利用しやすいキャンプ場だった.ただ一つ残念だった事は、夜中に車で乗り付けて周囲の迷惑も省みずに家族用の大きなテントを設営する身勝手な家族連れが二組ほど居たことだろうか.