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2024
伊豆沼(宮城県)で渡り鳥見物
日本有数の渡り鳥の越冬地でマガンの群れを観察
宮城県の北部の栗原市と登米市にまたがる伊豆沼周辺はシベリアやアリューシャン列島方面から飛来する白鳥やガンなどの越冬地として知られており、何万羽という数のマガンの群れや白鳥などが集まる場所として知られている.
伊豆沼は真冬でも湖面が凍ることは無く、沼の周辺に広大な田んぼや田畑が広がっているので、冬の間でも豊富な餌にありつくことができるので、これらの渡り鳥にとっては理想的な越冬場所のようだ.
マガンや白鳥達は夜間は沼の湖面で集団で過ごし、日の出とともに餌を求めて周辺の田畑へ一斉に飛び立ち、夕方日没とともにまた池へと戻る生活を送っている.マガンの巨大な群れが一斉に飛び立つ様子は壮観で、この光景を一目見ようとコアなバーダーさん達ばかりではなく、一般の人達も大勢集まっていた.
伊豆沼の周辺には大きな沼が3つあり、メインの伊豆沼とその南側に内沼、JR東北線の線路を挟んだ東側に長沼という大きな沼がある.これらの沼は夏の間は蓮の花が観光の目玉となっているようで、8月の蓮のシーズンには遊覧船の小型ボートが運行されているそうだ.
伊豆沼は369ha、周囲約11km程の広大な水域を持つが、沼の水深は平均1mにも満たないとても浅い沼だ.沼の中央部でも水性植物が生えており、多種多様な水生昆虫や魚類などが生息している自然環境の宝庫と言える場所だ.水深が浅く沼に流れ込む大きな川も無いことから沼の水の入れ替わりは殆ど無いようだ.
伊豆沼や周辺の沼は自然にできた沼だと言われているが、沼の周りは干拓されて広大な水田が広がっており、沼の水は水田に水を供給する巨大なため池的な役割を担っているようだ.周辺の田畑などから汚染された土壌水が沼に流れ込んで来るので、沼の水は富栄養化しプランクトン類が異常発生したり、蓮をはじめとした水生植物が以上繁茂しそれらが枯れて沼底に堆積して、池の環境は悪化する一方のようだ.
宮城県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンターを中心に沼の環境浄化や自然の再生に取り組んでいるようだが、広大な沼なのでそう簡単に事は進まないようだ.
伊豆沼の東岸側はJR東北本線の線路が近くを通っており、新田駅からは徒歩で池の廻りを散策可能だが、電車の本数は極端に少ないので、公共交通機関の利用はあまり編実的ではない.
沼を訪れる大部分の人達は車で直接沼の周辺に乗り入れているが、アンチマイカー族の私は当然ながら公共交通機関と自分の足だけで伊豆沼周辺を訪れることになる.沼の周辺を歩いて回るのは時間が掛かりすぎて現実的ではないので、今回は東北新幹線のくりこま高原駅に隣接したホテルに泊まり、駅の観光案内所でレンタサイクルを借りて伊豆沼周辺の散策を行うことにした.
池の周囲を車で巡ることは可能だが、堤防の上に設けられた道はとても細いので対向車とのすれ違いは苦労するだろう.沼の周辺に数カ所の駐車スペースがあるのでそこに車を止めて土手の上から観察観察するのが現実的だ.
堤防の上まで車で乗り入れてくるマナーの悪い鬱陶しい連中が多くて困りものだ.堤防の上でゆっくり観察したくても行き交う車を絶えず気にしなくてはいけないので観察どころではない.特に未明の暗い時間帯に堤防の上を車で走るのは、ヘッドライトの光で鳥たちを驚かす恐れがあるので、絶対にやっては行けない事だ.
まともなバーダーさん達であれば、その辺の心得は身についている筈なので問題は無いが、一般の人達ではそこまで気が回らないので、やはり堤防の上の道路は一般車乗り入れ禁止とするべきだ.
早朝の飛び立ちを観察する場合は、事前に観察場所の様子を調べて置く事を勧める.未明の時間帯は真っ暗で沼の周辺の状況が良くわからないので、どこで観察して良いのか分からないだろう.
早朝のマガンの飛び立ちでは、十万羽以上のマガンの群れが同じタイミングで一斉に飛び立つ様子を想像していたが、実際にはマガンの群落単位で五月雨式に飛び立って行ったので、一寸肩透かしを食らった感じだったが、それでも多くの雁たちが飛び立つ様子は見ていて飽きない物だった.
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