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2020
山刀伐峠を越えて尾花沢へ
山刀伐峠越えの道
悪天候による足止めのため封人の家に二泊ほど滞在する事を余儀なくされたが、快晴となった五月十七日(現代の暦では7月3日)に封人の家を出立し、道案内兼ボディーガード役の屈強な若者と共にに赤倉温泉、山刀伐峠を越えている.芭蕉と曽良はその日の昼過ぎに尾花沢の鈴木清風宅を訪れている.
昨日は国道47号線から赤倉温泉へ向かう分岐地点まで歩いたので、この日は赤倉温泉駅から歩き始めることにした.地理院地図では駅前から国道を通らずに赤倉温泉方面へショートカットできそうな道が描かれていたのでそちらへ向かってみた.川を渡る赤い小さな人道橋が見えたので期待して行ってみたら、入り口が通行禁止の看板とともに塞がれていて渡ることができない状態だった.仕方が無いので川沿いに国道方面の自動車道まで迂回することにした.
赤倉温泉街に立ち寄ってから県道28号線を山刀伐峠へ向かう.一刎(ひとはね)集落でショートカットできそうな道があったので、そちらに分け入ってみたが行き止まりで結局県道に戻ってしまった.山刀伐峠越えの山道は山刀伐トンネルの入り口左手脇の斜面に入り口がある.
入り口を見逃して、旧道から入ってしまったが直ぐに山道へと合流することができた.旧道はアスファルト舗装されてはいるが、車一台が通れる程度の曲がりくねった道で、冬場は閉鎖されているようだ.奥の細道の本文では山刀伐越えの山道にを次のように語っている.
高山森々として一鳥声聞かず、木の下闇茂り合ひて夜行くがごとし。雲端につちふる心地して.篠の中踏み分け踏み分け水を渡り、岩に躓いて、肌に冷たき汗を流して、最上の庄に出づ。
現在の山刀伐峠越えの山道は良く整備されたとても歩き易い散歩道となっており、奥の細道の本文にあるような険しさは全く無くなっている.
私は入り口の取り付きと出口付近で間違えて旧道に入ってしまったが、要所要所に奥の細道の立派な石柱の標識が建てられているので、この標識に従って歩けば大丈夫だろう.今回は山刀伐峠から尾花沢市街まで歩いたが、長く単調な車道歩きなので、奥の細道を全区間踏破するのでなければ、この区間は歩かない方が良いだろう.
芭蕉と曽良は封人の家を朝出立して、その日の昼過ぎには尾花沢の鈴木清風宅へ着いているので、私よりも遙かに歩きが早い.那須湯本温泉から白川の関までその日の内に辿り着いていることからも分かるように、芭蕉と曽良は人並み外れた健脚の持ち主のようだ.芭蕉は伊賀上野の出身なので、芭蕉隠密説もあながち絵空事ではないのかもしれない.
今回の奥の細道の旅では山形県最上町の方々に大変親切にしていただいた.コロナ騒動が一段落したらまた赤倉温泉や封人の家を訪れてみようと思う.
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