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2009
ちょっとだけ富士山
須走口ルート往復 2009年
7〜8月の富士山は信じられないくらいの俄登山者で溢れかえると聞いていたので、できればこの時期には登りたくなかったのだが、9月中にご来光登山をしようと思っているので、その前にどのような状況なのか確かめるために、予行演習として日帰り登山をしてきた.
朝早く小田急線の電車で新松田へ向かい、そこから富士急湘南の須走口行き登山バス(7:10AM発)に乗り換え、午前8時30分頃須走口新5合目(標高1950m)に到着した.
午前9時に須走口新5合目から登り始めたが、火山灰と溶岩の登山道は滑りやすくかなり難儀した.午前中の天気はまあまあだったが、天気は下り坂だったのでこの先麓の雄大な景色を眺めることは期待できそうにもなかった.
このところの空前の富士登山ブームと、夏休み最後の土日ということもあってか登山客はかなり多かった.本当は殆ど人気のない御殿場口から登りたかったのだが、長丁場の御殿場ルートでは朝登り始めて夕方までに下山するのは困難なので、今回は富士宮口や吉田口よりも人出の少ない須走口ルートを登ってみることにした.
富士登山はこれまでの登山と大幅に勝手が違い、登山初心者が大勢居るのでなかなか自分のペースで登って行くことができなかった.今回は普段よりも相当ゆっくりしたペースで登って行ったので、高山病をあまり気にすることなく登ることができた.ある意味で大勢の登山客で登山道が渋滞するというのは高山病予防という点では良いことなのかもしれない.
途中の山小屋に着く度に新○合目とか本○合目とか非常に紛らわしい表示に出くわす.まるでどこかの老舗の暖簾争いのようだ.『6.5 合目』のように小数点付きで統一表示すればどちらが高い地点に有るのかハッキリ分かって良いのではないだろうか.
8合目を過ぎた辺りで雨が降りだし、そこから先はかなりガスって居て視界が悪かった.8合目からは吉田口からの登山道と合流するため、登山道は更に人で溢れかえっていた.シーズン中の御来光登山の時間帯には、8合目から頂上までは渋滞で一歩も進めなくなるという.今回は週末の土曜日とは言え、昼間の時間帯なのでまだ空いているのだろう.
予定よりも大幅に遅れて須走口頂上に着いたが相変わらずガスって居て周囲は何も見えなかった.普通の登山だと頂上に辿り着いたときにはそれなりの感動があるのだが、今回は淡々としたものだった.頂上付近では皆浅間神社の奥宮の石柱の前で皆記念写真を撮影している.時間があればお鉢巡りをするつもりだったが、視界も悪く帰りのバスの便のことも考えて、お鉢巡りは次回の御来光登山のときに行うことにして、30分ほど休憩した後直ぐに須走口の下山道を下りることにした.
須走ルートの下山道は大部分が登山道とは別になっていて、砂地の斜面を駆け下りて行くことができる.登山のあまり経験の無い人達にとっては、この下りでの膝への負担が一番辛そうだった.深い砂地に足を取られてなかなか思うように下りていくことができなかったが、トレッキングポールを有効に使って、スキーのウェーデルンの要領で滑り降りるように下って行くと、かなり楽に下りて行くことができた.只、砂の中に大きめの石が埋もれているので慎重に足を運ばないと石に足を取られて怪我をしかねないので、スピードを出すことはできなかった.
下山は頂上から2時間もかからずに新5合目の登山口まで辿り着くことができたが、途中の砂払5合目の吉野屋(売店)に着く頃には夕暮れと雨交じりの濃霧のため殆ど何も見えない状態だった.特に砂払5合目から新5合目の登山口までの下山道は足場の悪い樹林地帯を下りて行かなければならず、懐中電灯やヘッドランプなしでは到底歩くことはできない状態だった.
きちんとした登山準備をしていれば日没になっても大丈夫だが、このところの安易な富士登山ブームの影響か、観光地に出かけるような気分のまま軽装で登っている人達も多く見られた.先月も登山者が2名亡くなっているというのに、まだまだ一般の人達には富士登山に対する認識が甘いようだ.地元や山小屋などにとってはまたとない稼ぎ時なのかもしれないが、この辺で入山規制など真剣に取り組まなければならないのではないだろうか.
今回は日帰りのやっつけ登山だったが、やはり富士山は登る山ではなく眺める山だとつくづく思った.御来光登山を済ませたら、その次は富士山の周辺の山々にハイキングに出かけてそこから富士山を眺めることにしようと思う.
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