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08
2022
雲巌寺
雲巌寺
奥の細道の旅では、芭蕉と曽良は日光を参詣した後に黒羽へ向かい、四月三日から十六日までの二週間にわたる長い期間にわたり黒羽に滞在している.この間、家老の浄法寺図書(俳号桃雪)と弟(俳号翠桃)らと歌仙を巻いたり近隣のお寺や那須の与一ゆかりの神社などを観光している.
芭蕉と曽良が黒羽に滞在中に、黒羽から三里ほど離れた山の中にある雲巌寺というお寺を尋ねている.雲巌寺は臨済宗のお寺で、福井の永平寺などと並んで禅宗の四大道場として知られている古刹で、仏頂和尚が山籠もりをした跡を訪ねることが目的だったようだ.
尤も、今このお寺を訪れている大勢の観光客は、奥の細道の雲巌寺ではなく、JR東日本の吉永小百合のCMに登場した雲巌寺の影響でこの寺を訪れているのかもしれない.
この日も紅葉シーズン中の休日ということもあり、多くの観光客が雲巌寺を訪れていた.自然の中の紅葉なので派手さはないが、その分落ち着いた感じの自然な紅葉を楽しむことができる.
清流に掛かる真っ赤な欄干の太鼓橋の先に石の急な階段が続き、その先に古びた巨大な山門が聳え立っている.山間部の狭い境内の割に巨大な山門の偉容に圧倒される.
この山門(三門)は江戸時代前期に再建されたものということなので、芭蕉や曽良もこの門を潜っている事だろう.
山門の先の正面に本堂(仏殿)があり、その奥の一段上の崖沿いに方丈、庫狸が建てられている.境内は山の斜面に沿って建物が配置されているので、全体的にこぢんまりとはしているが、境内の樹木の手入れが行き届いており、街中の庭園のような独特の雰囲気を醸し出している.
お寺の境内には観光客しか見当たらず、普段の禅宗の道場としての修行の様子は窺い知ることができなかったのが残念だったが、観光シーズンを避けて平日にでもまた尋ねてみようと思う.
公共交通機関で雲巌寺へ行くには那須塩原駅東口から大田原市営バスに乗り終点の雲岩寺で降りれば目の前が雲巌寺だ.那須塩原駅から小一時間ほどで雲巌寺に到着するが、大田原市営バスは均一運賃で全区間乗ってもたったの200円という驚きの低価格だった.