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2016
和佐又山から笙ノ窟へ
笙ノ窟(しょうのいわや)へ
先日の大峯北奥駈中に立ち寄ることの出来なかった大普賢岳の西側の尾根沿いにある第62靡笙ノ窟に立ち寄ってみることにした.前鬼から釈迦ヶ岳、弥山、行者還岳、大普賢岳を経由して笙ノ窟へと行きたい所だが、日程的に無理なので今回は前鬼口から和佐又登山口まではR169ゆうゆうバスでショートカットすることにした.
和佐又登山口でバスを降り和佐又山ヒュッテへ向かうが、和佐又山ヒュッテまではアスファルト舗装された車道を延々と登って行くか、途中で沢沿いの登山道に入る二通りのコースがある.山と高原地図『大峯山脈』(2013年版)では沢沿いのコースを選べばショートカットできそうだが、実際にこのコースを歩いてみると地図の破線コースと異なっており、全くショートカットになっていなかった.多分途中でコース変更があり、かなり迂回するコースに変更されてしまったのだろう.時間的なメリットはないが山屋さんであれば沢コースを選ぶのが無難だろう.
和佐又山ヒュッテの周辺で朝、夕共にアカショウビンの鳴き声を比較的身近で聞くことができた.前鬼では姿を見ることができなかったが、和佐又山ではほんの一瞬だったがアカショウビンの姿を見ることができた.残念ながら撮影することはできなかったが、アカショウビンの鳴き声をPCMレコーダで収録することができたので、今回のプチ遠征の成果はまずまずといったところだろうか.どうやらこの辺りではアカショウビンはそれ程珍しい鳥ではないようだ.これから梅雨時にかけては比較的高い確率でアカショウビンに出会えるのではないだろうか.
アカショウビンの鳴き声 [MPEG4 Audio(m4a)]
笙ノ窟は和佐又山と大普賢岳の中間くらいに有り、笙ノ窟までは比較的緩やかな尾根沿いの林間コースだ.和佐又山ヒュッテから笙ノ窟までは小1時間程だろうか.笙ノ窟は切り立った崖の窪みに設けられた行場で、行尊や西行がここで修行を行い、歌を残している.
もろともにあはれと思へ山ざくら 花よりほかにしる人もなし 行尊 [金葉集 521]
この歌は小倉百人一首にも採られており、人口に膾炙しているので知っている人も多いだろう.
大峰の生(しやう)の岩屋にてよめる
草の庵なに露けしと思ひけむ 漏らぬ岩屋も袖はぬれけり 行尊 [金葉集 533]
西行も大峯修行中に行尊の詠んだ歌を思いだし、次の歌を詠んでいる.
御嶽より笙の岩屋へまゐりたりけるに、もらぬ岩屋も、と有けん折思ひ出られて
露もらぬ岩屋も袖は濡れけりと 聞ずはいかに怪しからまし [山家集 雑917]
現在の笙ノ窟は『露もらぬ岩屋』というよりは、『露もる岩屋』で滴り落ちる滴で中はビチョビチョだった.
とりあえず笙ノ窟も実際に訪れることができ、今回のプチ遠征の目的は果たしたので、残りの時間は大台ヶ原にある一等三角点を探訪することにした.
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