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03
2014
興和のiPhone用撮影アダプタ
興和のiPhoneアダプタと25口径双眼鏡の組み合わせで挑戦してみたが…
双眼鏡やフィールドスコープの世界では定評のある興和の製品で、双眼鏡やフィールドスコープの接眼レンズに簡単に取り付けて撮影できるアダプタが発売されているので、物は試しにと購入してみたのだが、期待に反して全く言うことを聞いてくれなくて困っている.
最近バードウォッチングを始めたので、観察した鳥さん達の写真を記録に残しておきたい(本当は格好良いイラストを描きたいが子供の頃から絵心が皆無の私にはとても無理)ので、何とかお金を掛けずに手持ちの機材で撮影できないものかと考えあぐねていた.今流行のデジスコ撮影を始めようかとも思ったが、何せまともに揃えると一セット(フィールドスコープ、接眼レンズ、三脚、専用雲台、デジカメ用のアダプタ類、高級コンデジ)50万円は覚悟しないと実用的な写真は撮れないだろう.一眼デジ+望遠レンズという組み合わせだと軽く百万円超えの世界になってしまう.
興和のホームページに『iPhoneではじめる野鳥撮影』なるページがあり、このページを見る限り初心者でもiPhoneを使って比較的簡単に綺麗な撮影ができるというような紹介記事が載っている.これならとりあえず手持ちのiPhoneや双眼鏡でイニシャルコスト 1/100 以下で野鳥撮影ができるのではと目論んではみたものの、そうは簡単に問屋が卸してくれなっかたようだ.
興和iPhone用撮影アダプタ TSN-IP5
双眼鏡の接岸レンズに取り付ける
iPhone5を取り付けた様子
だめだこりゃ!!!
単に私の撮影法(というよりは双眼鏡の選択自体)が間違っているだけのような気もするが、少なくとも 8×25の双眼鏡(BD25-8GR) ではまともな写真は撮れないようだ.接眼レンズの繰り出しカバー部分にスッポリ填める形で撮影アダプタを取り付けるが、接眼レンズの繰り出しカバーが直ぐに回転してしまうのでiPhoneが直ぐに宙ぶらりんになってしまう.光軸をきちんと合わせることも困難だ.
iPhoneのカメラは性能が良くなってもうデジカメなんて要らないというような巷の発言を目にするが、iPhoneの内蔵カメラ(+付属アプリ)など使い勝手が悪すぎてとても日常的に使いたいとは思わない.何でこんな酷い内蔵カメラ機能を多くの人が喜んで使っているのか理解に苦しむ.もっと簡単にズームとフォーカスをコントロールできない限り、iPhoneを簡易デジスコ用のデジカメとして使うことはできないだろう.BD25-8GRの接眼レンズとの組み合わせではiPhoneの内蔵デジカメの光学的特性により周囲が完全に蹴られてしまう.そもそもiPhoneの内蔵カメラは単焦点の広角レンズで、光学ズーム機能など持ち合わせていないので、周囲が蹴られてしまう事を避ける事ができない.iPhoneのズーム機能は画素補間演算による擬似的な拡大(所謂デジタルズーム)なので、ズームアップした画像など汚くて見れた物ではない.デジタルズームアップしなければ使い物にならないのであればその旨をきちんとカタログ等に記載しておいて欲しい.BD25-8GRは三脚に取り付けるアダプタが無いので必然的に手持ち撮影になってしまうので、仮にピントやレンズの蹴られの問題が解決できたとしても、不安定なiPhoneを取り付けた手持ちの双眼鏡で数百mmの望遠レンズと同等の撮影倍率で手ぶれを起こさずに撮影することなど絶対に無理だ.iPhoneのシャッタースピードは完全に自動で、高速なシャッタースピードを選択することができない.マニュアル露出の機能を持たせた撮影アプリでも無い限りiPhoneでの撮影は実用にはならないだろう.この製品を使うには、最低でも32口径以上の双眼鏡か、フィールドスコープとマニュアルコントロールカメラアプリが必要なようだ.
【追記】興和のiPhone用撮影アプリ “TeleCamera”
AppleのiOSに標準でインストールされている撮影アプリはあまりにも機能が貧弱で使い物にならないので、もう少しまともな撮影アプリを物色していたら、当の興和からiPhone撮影アダプター用の専用アプリが発売されていたので、試しにインストールしてみた.
このアプリの名前は “TeleCamera” という物で、U.S.のAppStore価格で$0.99ほどだった.私は訳あってU.S.のAppStoreから購入したが、勿論日本のAppStoreからも日本語版(英語版と同じ物)が購入できる.
AppStore で興和の TeleCameraという撮影アプリを見つけた
撮影時の画面の様子
割と細かく撮影の設定が可能
Zoom なしではこの程度 [ iPhone5の内蔵カメラ ]
Zoom 2.0近辺だとこんな感じ [ iPhone5の内蔵カメラ ]
まだ実際に双眼鏡に設置して試してはいないが、Zoom領域を 2〜3程度に設定しておけば、周辺のケラレを生じさせずに撮影ができそうだ.フォーカスとAEを合わせる位置を画面上で任意の場所に設定できるので、動きを伴わない被写体の場合はそれなりにコントロール可能だろう.
興和のiPhone撮影アダプタのユーザでなくても単純にiPhone撮影アプリとしても便利なので、一般のユーザでも購入してみる価値はありそうだ.ちなみに日本円で100円程度なのでお買い得だろう.
Zoom X1.0 だと完全に周辺がケラレてしまう(光軸もかなりずれている)[ BD-8X25 との組み合わせ ]
Zoom X2.0 [ BD-8X25 との組み合わせ ]
Zoom X4.0 [ BD-8X25 との組み合わせ ]
PROMINAR 500mm + TP-88EC1プリズム+ TE10アイピース + iPhone5 で撮影(なんちゃってデジスコ)
EXIF情報
PROMINAR 500mm + TX-07 + Pentax K5IIs で撮影(35mm換算で500×0.7×1.5=525mm相当)