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2012
高野山町石道
町石道で高野山へ
高野山へは2007年春の四国遍路の時に二度訪れているが、何れも電車とケーブルカーを利用しての入山だったので、今回は麓から町石道(ちょういしみち)を歩いて登ってみることにした.
南海電鉄高野線の九度山駅を降り町石道の起点である慈尊院へ向かう.三連休の中日の薄曇りの穏やかな天気だったので、もっと大勢のハイカーで賑わうのかと思っていたがトレランのグループと2〜3組のハイカーしか居なかった.
慈尊院の境内の奥の階段を登って行った先に丹生官省符神社があり、階段の鳥居を潜った右手に第百八十町石が立てられていた.町石と呼ばれるこの細長い石塔は高野山の根本大塔を起点として一町(約109m)毎に立てられており、何百年もの間高野山へ参詣する際の道しるべとして使われてきた貴重な物である.
町石道のコース自体はとても良く整備されており、家族連れや高齢者でも歩き易いハイキングコースだが、全コース(約20km)を歩き通すのはそれなりの体力が必要なので、初心者は途中で区切って電車やバスを上手く組み合わせた方が良いだろう.
最初はこの地方の名産品である富有柿の畑の中のコースが続く.真っ赤に熟した柿の実を横目にひたすらコンクリート舗装された固い農作業道を登って行く.六本杉という場所で天野の里へ分岐する道とに別れるが、真っ直ぐ行くと天野の里へ下りてしまうので町石道をそのまま行くにはUターンするように左に折れる.ここから二ッ鳥居まではほぼ平坦な道が続く.二ッ鳥居の手前には展望台があり、眼下に天野の里が広がっている.
二ッ鳥居で町石道を外れ麓の天野の里へ寄り道をすることにした.天野の里には丹生都比売神社や西行の妻子が隠棲した跡などが残っており、前から一度訪れてみたいと思っていた.天野の里は丹生都比売神が世界遺産に登録されてしまったので今では観光地と化してしまったが、どことなく時代の流れから取り残されたような日本の農村の原風景を彷彿とさせる懐かしい光景が広がっていた.
天野の里を後にして再び町石道へ戻ることにするが、そのまま二ッ鳥居に引き返すのは面白くないので丹生都比売神社から古峠へ向かう山道を探すが入口が見つからなかった.貧女の一灯と呼ばれているお照るの墓に寄ってからそのまま六本杉まで戻ることにした.六本杉から二ッ鳥居までは二度歩きになってしまったが、二ッ鳥居から再び町石道に戻った.
二ッ鳥居からは一旦下った後緩やかなアップダウンを繰り返す.ゴルフ場の横を通り抜けると地蔵堂と呼ばれる小さなお堂のある場所に出た.直ぐ側に公衆トイレがあり休憩するには丁度良い所だ.木漏れ日の美しい雑木林の道がとても心地良い.矢立という所まで暫く緩やかな下りが続く.矢立で車道を横切るとここからは急な上りとなる.高度を上げるにつれ杉の巨木が目立つようになる.
袈裟掛石、押上石を過ぎ車道を横切ると大きな四阿のある展望台に出る.四阿から降りて行くと直ぐに車道に出るが、車道の向こうにある町石に向かって車道を横切ってしまいそうになるが、ここでは車道を渡らずにそのまま車道の手前を右下に折れる.今まで遠くに鳴り響いていた車のエンジン音が段々間近に聞こえてくるようになってきた.最後の急坂を登るとようやく大門に辿り着いた.
今回は途中天野の里へ寄り道をしたので大部時間が掛かってしまったが、町石道を慈尊院から大門まで寄り道をしないで真っ直ぐ歩くと、普段山歩きをしている人であれば5〜6時間程度で歩き通す事ができるだろう.整備された歩き易い道なのでトレランの入門コースとしても最適かもしれない.
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