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2012
『山と高原地図』 iPhone アプリ版
『山と高原地図』のiPhoneアプリ版がリリース
昭文社の『山と高原地図』は日本で一番ポピュラーな紙ベースの山岳地図で、山登りをする人であれば誰でも一冊や二冊は持っていることだろう.今回この『山と高原地図』がiPhoneアプリとしてリリースされた.
早速AppStoreからiPhoneにダウンロードして無料サンプル地図の高尾山(拡大図)を入れてた.アプリ本体は無料だが、地図データを個別に購入する形となる.
起動時の画面
各種設定項目
付帯情報も含まれている
地図表示画面(標準サイズ)
地図を縮小表示させたときの画面
地図を拡大表示させたときの画面
無料サンプルの高尾山(拡大図)は、紙ベースのオリジナル版では縮尺が 1/15,000 で表示されている地図だ.本番用の地図は各エリア一部450円で販売されるようだ.今回は無料サンプル地図だけしか試していないのでハッキリしたことは言えないが、iPhoneアプリ版の地図は紙ベースの地図データをそっくりそのまま取り込んだだけのようだ.
上記の画面表示画像はiPhone 3GSの画面をキャプチャーしたものだが、ハッキリ言って画質は今イチだ.今回のiPhone版アプリの正式対応機種としては iPhone4, iPhone4S ということなので、Retina ディスプレイを前提とした作りなのかもしれない.
iPhone4, iPhone4S ではもっと綺麗に表示されるのかもしれない.地図の拡大・縮小表示は可能だが、元になる画像は1種類だけで、拡大・縮小に合わせた別解像度の地図画像データが用意されている訳ではなさそうだ.画面の表示があまり綺麗でないのはこの辺の事情もあるのではないかと思う.
地図の画像データのファイル形式は不明だが、地図のサイズは1エリア40〜50MBだそうだ.この範囲の地図画像データをこのサイズに圧縮しているので画像が鮮明でないのは仕方がないのかもしれないが、画質に関しては正直なところ期待はずれだった.
地図の内容も紙ベースのデータをそのまま取り込んだだけというのも残念なところだ.表示媒体の特性に合わせた適切な地図作りをするべきだろう.折角地図の専門会社が発売するのだから、iPhone用に最適化した地図を出して欲しいところだ.
このアプリの地図がこれまでの紙ベースの地図の代替として使える訳ではない.こんな小さな画面では地図のほんの一部の領域しか見ることができない.ルートのプランニングや代替ルート、エスケープルートを検討するには広い範囲を一度に見ることができなければ無理だ.
iPhoneのGPS機能と組み合わせた簡易GPSナビ機能も備わっているが、GPSナビとしてはあまり期待しない方が良いだろう.iPhoneのGPSでは精度その物に問題があり、自分の位置確認がある程度地図上でできる程度の機能しか持ち合わせていないだろう.
事前に何のプランニングもせずにこのアプリの地図だけを頼りに安易に入山する初心者が増えるのではないかと危惧している.
全体的に見て今回リリースされたiPhone版『山と高原地図』は地図内容、GPSナビ機能とも中途半端で、ちょっと期待はずれだった.次作の改良に期待したいと思う.