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10
2011
myTracks : Mac用GPSデータ管理ツール
Mac用汎用GPSトラッキングデータ管理ツール “myTracks”
Mac用の汎用GPSトラッキングツールはフリーの物も含めて数種類出まわっているが、今回 “myTracks” という市販(最初の頃はフリーだった?)のアプリケーションソフトウェアを試して見ることにした.
“myTracks”については様々な機能が有り使い方を簡単に説明するという訳にはいかないが、GPSトラッキングデータをGUIベースで編集できる機能があるので、今回はその機能を使って電波の乱反射で乱れてしまったトラッキングデータを修正してみることにした.
myTracks
myTracksについて
myTracksは元々はジョギングデータの管理用に作られたもののようだが、その優れたトラッキングデータ管理能力により、登山やサイクリングなど幅広い用途に用いることができる汎用性の高いツールといえるだろう.
myTracksのiPhone版もあって普段iPhoneを持ち歩いている人にとっては簡易GPSデータロガーとしても機能するようだ.入手方法はmyTracksのホームページからダウンロードすることもできるし、Mac AppStoreから直接購入することができます.Mac AppStoreからの購入はまだ試していないが、myTracksのホームページからダウンロードしてインストールした場合、最初の30日間は試用モードとして使えるので実際に購入するかどうかは使い心地を試して見てからの方が良いだろう.
Mac AppStoreから購入の場合は、5台のMacにインストールして使えるそうなので複数台のマシンを有する場合は、Mac AppStoreから購入する方が良いかもしれない.
値段は、myTracksのホームページ経由で購入(Paypal支払い)で9.95ユーロ(日本円換算で約1,120円)、USの Mac AppStore では 15.99ドル、日本の Mac App Store で 1,800円だ.
myTracksだけでGPSデータロガーからのトラックデータ取り込みとトラックデータの編集、写真へのジオタグ情報付加、iPhotoやAperture, Adobe LightRoom等の写真管理アプリケーションとの自動連携などが簡単に行えるようになっている.また、GPXや Google Earth のKML.KMZ形式での書き出しなども行える.
これまでデータ取り込み、データ形式変換、ジオタグ付加などは別々なアプリケーションソフトウェアを使っていたが、myTracksが1つあれば事足りるようになった.どのレベルまで多言語対応になっているのかは不明だが、一応日本語のリソースも含まれているので日本語環境下ではメニュー等の表示は日本語になるようだ.
直接取り込み可能なGPSロガーの種類は多く、殆どのGPSロガーに対応しているようだ.日本で普及している SONY GPS-CS3やATLAS ASG-1 (Holux GSport245)にも標準で対応している.対応機器のリストは myTracks のホームページに記載されています.【追記:現在はリストは見当たらない】
ATLAS ASG-1のデータ取り込みでは各ロギングトラック(ロギングスタートボタンを押してからロギングを停止するまでのデータが1トラック)毎に分離されて取り込まれるので、自分で分離する作業が必要なくなる.複数トラックをまとめて1つのトラックにしたり、1つのトラックを細かく分離することも簡単にできる.
GPSデータロガーではどうしても余分なごみデータが付加されてしまいがちだが、myTracksがあれば本当に必要な部分だけ編集して残すことが容易に行える.
ユピテルのASG-1の公式(おまけ?)ソフトウェアとして付属(ネットからのダウンロードのみ)する ATLASTOUR というソフトウェアでは、Waypoint(特定の地点を登録して記録に残す機能)を地図上に表示することはできるのだが、GPX形式でファイルに書き出すとWaypoint情報は一切付加されず、一塊のトラックデータになってしまう.myTracksではASG-1に記憶させたWaypoint (POI) もきちんと取り込まれ、GPX書き出しでもWaypointがトラックデータとともに書き出される.
標準でサポートされている地図としては、”OpenStreetMap“, Microsoft “Bing Map“, “OpenCycleMap” などがあるが、何れも日本国内の情報は貧弱だ.山行用には”OpenCycleMap” が等高線表示がされているので便利かもしれない.地図データを供給しているサーバが海外にあるため、アクセスが遅く地図の更新が追いつかないことが多く、トラックポイントデータの場所の確認用としての使い方しかできないだろう.
【追記】
Bing Map に関しては最近レスポンスが良くなり、地図データもゼンリンから供給を受けているようでかなり改善されている.写真に対してはGeocaching.comなどから場所(地名)に関する情報を取得できるが、大抵の場合は日本語の表記が文字化けを起こす.これは恐らく海外の地名データベースのため、きちんと多言語対応されていないのが原因だと思われる.
このような多言語未対応システムに文字コードに無知な人達が昔のShiftJISコードのまま登録してしまったのが原因かもしれない.UTF-8 で登録してあれば文字化けの問題は起きないかも知れませんが、サーバ側とクライアント側の両方の問題が絡んでくるので日本語表記は難しいかもしれません.GPXで書き出せば XMLの標準である UTF-8 で書き出されるので、myTracks上で日本語表記を行っていても文字化けの心配はない.
myTracksでは “GPSBabel” や “exiftool” などのオープンソースのライブラリを組み込んで使っている模様.値段も日本で1,800円程なのでGPSロガーを有効に使いたい人にとって便利なツールだと思う.お薦めの一品だ.
画面に表示する地図を選択する
Microsoftの Bing Map (Street View)だとこんな感じ
OpenCycleMapだとこんな感じ
日本語による入力も問題無く行える
トラックデータの修正
myTracksにはトラックデータ中の各ポイントのデータを簡単に削除したり、データの値を変更したりすることができる.ビル影やトンネルの中のような電波状態の悪い場所や、都心部などの電波の乱反射等の影響を受けやすい場所ではGPSデータの値におかしな値が記録されてしまう事が多々ある.これまではGPSのログデータを一々テキストエディタ等で覗いてみて問題の部分を削除したり修正したりしていたが、myTracksがあれば地図上で該当するポイントの場所を目視しながら修正作業が可能だ.
各ポイントのデータが軌跡に沿っているかどうかは目視で判断できるので、おかしなデータを見つけるのがとても容易だ.各トラックポイントの位置を修正するには、地図画面の下部にある”Edit” モードボタン該当するトラックポイントを選択して、”Option(Alt)” キー押しながら地図上をドラッグさせるだけで良い.
Editモードで個々のトラックポイントを選択し位置を修正することができる
トラックポイント削除するとその分のデータが欠如するのでできる限り削除しない方が良いのだが、おかしなデータを軌跡上に乗るように人間の手で一つ一つ修正を行うのはかなり手間が掛かる.できれば前後の正しいポイントからおかしなポイントを自動的に補間して修正してくれるような機能があると便利なのだが...補間の方法としてはスプライン補完のようなものが好ましいのだが、単純な線形補間でもかなり実用性が高いと思う.トラッキングデータをスムーシング(軌跡のケバケバしい所を取り去り滑らかな軌跡にする)処理してくれるともっと良いのだが.
Zoom Level: Bearing(Heading): Pitch: Grid Interval:
ポイントを選択するとその場所が地図上に表示される
乱れたポイントを探し出し、そのポイントを削除(修正)する
乱れたポイントを削除したトラックデータ
削除を行わずに個々のポイントデータを数値で直接修正することも可能
iPhotoなどの画像ライブラリとの連携も可能
Zoom Level: Bearing(Heading): Pitch: Grid Interval:
乱れてしまったトラックデータを修正した後の軌跡