10
05
2009
利尻山 鴛泊コース
利尻山 鴛泊コース往復
利尻山は円錐型の綺麗な容姿から利尻富士と呼ばれている.4〜5年前に礼文島を訪れた際に、その美しい姿に一目惚れしてしまった.利尻島は島全体が一つの山を形作っていて、海の上から眺めた美しい姿は格別だ.
羽田から稚内行きの飛行機に乗り、稚内フェリーターミナルから船で1時間40分程で鴛泊港に着いた.連休中ということもありフェリーは結構人で溢れかえっていた.遠くから眺めるとなだらかに見えた山肌もフェリーが島に近づくにつれ、その岩肌や荒々しい稜線が浮かび上がり、想像していたよりも遙かに険しい山であることを実感した.
翌朝5時に宿の車で鴛泊コースの登山口である北麓野営場まで送って貰う予定だったが、あいにく天候が悪く出発を1時間程遅らせて様子を見ることにした.とりあえず北麓野営場まで行き、天候の様子を見ながら行けるところまで登ってみることにした.
登山口の北麓野営場の標高は210mで3合目に相当する.利尻山の標高は1,721mであるから1,500mの標高差を一気に上ることになる.標高は2,000mにも満たないが、富士山登山にも相当する標高差と悪路が続き、結構難度の高い山だと言えるだろう.
歩き始めて直ぐに甘露泉水と呼ばれる、日本百名水にも選ばれている美味しい水が湧き出ている場所に着いた.こんこんと湧き出す水はとても冷たく美味しかった.ここから先には水場はないので、ボトルにタップリとこの水を汲んでおいた.甘露泉水まではアスファルトや石畳で舗装されているので、一般の観光客でも容易に訪れることができるだろう.
甘露泉水から先は樹林地対が続くが、上に行くにつれて大きな岩がごろごろしていて段々歩きにくくなる.6合目でようやく見通しの良い場所に出るが、ここからはハイマツ地帯で吹きさらしの強風との戦いになった.再びダケカンバの林になるが強烈な季節風の影響で登山道を覆うように木の幹が横に伸びていて、油断をしていると幹に頭をぶつけてしまいとても痛い目に遭う.
7合目を過ぎると七曲がりと呼ばれる傾斜のきつい歩き難い道が続いた.8合目の長官山に着いた頃から雨風が強くなってきた.天気が良ければここから頂上へ続く綺麗な稜線に浮かび上がる頂上が見える筈なのだが、ここから先はもの凄いガスで何も見えなかった.
長官山から緩やかなアップダウンのコースを経て避難小屋に着いた.結構大きな避難小屋で、十数人程度は泊まれそうながっしりした小屋だった.避難小屋から9合目にかけて登山道は赤い火山礫のとても歩きにくい道が続いていた.ずるずると滑り易く、土砂流出が激しくかなり荒れていた.この厳しい雨風の中登山道の補修工事が行われていた.後で宿の女将さんに聞いたのだが、登山道の補修工事のために、作業員の人達が避難小屋に泊まり込んで補修をしているのだという.週に1日だけ下山して麓の宿に泊まりに来るのだと言う.工期が決まっているので、このような悪天候の中黙々と補修工事を行っていた.
9合目から先には沓形コースとの分岐があるが、登山道のえぐれはますます酷くなり、人の背丈よりも深い溝ができている.補修工事を行っても殆ど効果はないようだった.たまたま同じ宿にこの工事を請け負った会社の担当者の方が泊まっていたので、工事についての話を聞く機会があった.今回の補修工事は実験的なもので、もし補修工事が上手く行かないようであれば今後登山道の閉鎖も検討するかもしれないと言うことだった.百名山の中でも人気の高い山だけに、登山客の増加による登山道の荒廃は深刻な問題のようだった.
降り続く暴風雨の中ようやく頂上に到着したが、小さな神社の社が祀られているだけで他には何もなかった.視界は最悪で何も見えなかった.頂上からの360度の視界を楽しみにしていただけに非常に残念だった.今回はとりあえず頂上までは登ったが何となくスッキリしない登山だった.晴れていれば沓形方面へ降りる予定だったが、この天気では危険地帯の多い沓形コースは無理なので、早々に頂上を後にして登ってきた登山道を引き返すことにした.
雨でグチャグチャの滑り易い悪路に悩まされたが、北麓野営場に着く頃には空には青空が見えていた.何とも恨めしい天候だった.北麓野営場から麓の宿までのんびり歩いて下りて行くことにした.途中の歩道が普通のアスファルト舗装ではなく、木の屑(細かなチップ)の舗装で、とても柔らかく歩き心地の良いものだった.帰りに町営の利尻富士温泉に寄り、コインランドリーで汚れた衣類の洗濯をした.温泉の露天風呂からは利尻山を眺めることができるので、登山の後には是非とも立ち寄ることをお薦めします.
【利尻山の登山情報について】
利尻山には携帯トイレの持参やトレッキングポールにゴムキャップを付けるなどのローカルルールがありますので、事前に必ず確認しておいて下さい.
詳しい情報は利尻富士町役場のホームページにある登山情報を参照して下さい.
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