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2008
祖谷渓谷
雪の祖谷渓谷 [ 11/20 2008 ]
奥祖谷から西祖谷へ
昨夜は予定を変更して、京上という東祖谷の小さな街に泊まることになった.この辺りは平家落人の里として観光地化しようとしているようだった.朝起きると一面銀世界で、まだ雪がちらついていた.朝一番の池田方面行きバスに乗る予定で旅館を出、バスの待合室でバスを待っていたが予定の時間を過ぎても一向にバスが来ない.
暫くして中学生が3名ほどバス停にやってきたが、中学校へ向かうスクールバスも予定の時間を過ぎてもなかなかやって来なかった.きっとこの雪で遅れているのだろう.中学生たちと雑談をしながらバスを待っていると、スクールバスの方が先にやってきた.中学生たちは私に挨拶をしてバスに乗り込んで行った.ほんの些細な出会いであったが、何となく微笑ましい一時だった.
そう言えば昨年遍路で四国を歩いて廻ったときも、田舎の小中学生はにこやかに接してくれたことが多かった.都市部に近づけば近づくほどだんだんよそよそしくなってくる.
肝心の池田方面行きバスを待つが予定を30分過ぎてもまだ来ない.確認のため四国交通に電話をしてみると、昨日の雪でバスが久保に行けなかったので、朝の第1便は運休だという.
次のバスまでは何と5時間もある.他の交通手段を聞いてみるが他にはタクシーぐらいしかないという.タクシーで池田に行けば何万円も掛かるだろう.西祖谷のかずら橋まで行けばバスは運行されているということなので、西祖谷のかずら橋まで歩いて行くことにした.
交番のお巡りさんに西祖谷のかずら橋までの道を尋ねると、京上からは約12km程だという.他に手段がないので西祖谷に向かってトコトコ歩いているとやがて雪が止み青空が見えてきた.
空の青さと渓谷を覆うように真っ白な雪景色のコントラストが何とも言えず美しい.祖谷渓谷と言えば紅葉の名所として有名だが、紅葉の上に雪をかぶった光景もなかなか絵になる光景だった.
大雪でバスが運休になったおかげでこの素晴らしい渓谷の景色をゆっくりと歩いて眺めることができたのは怪我の功名だった.思いがけずこのような素晴らしい光景に出会えたことを感謝した.
雪景色の渓谷に沿って歩くこと2時間30分ほどで西祖谷のかずら橋に着いた.こちらの方のかずら橋は観光名所らしく大型バスで次々とやってくる観光客で賑わっていた.
昼食がてらバス停近くの食堂兼民宿のおばちゃんと世間話をしながら乗り継ぎのバスの時間を待っていた.おばちゃんの話では、かずら橋のかずらは標高1000m以上の山でなければ橋に使えるようなかずらは手に入らないのだそうだ.
3年ごとに張り替えているとの事だったが、年々かずらの入手が難しくなってきているのだという.橋の通行料の500円は少しぼったくりのような気がするが、このかずら橋と大歩危・小歩危は観光資源として三好市の財政を潤しているのだろう.このような辺鄙な場所にも関わらず山の斜面にあのような巨大な駐車場施設が建っているのも肯ける.
西祖谷のかずら橋から11:50AM発の祖谷渓谷添いの道を通るバスに乗り池田の街へ向かった.バスは山間の険しい崖を縫うように細い道をゆっくりと走る.
途中、観光客の車で渋滞している場所に差し掛かった.見晴らしの良さそうな場所なので皆写真でも撮っているのかと思いきや、皆さんのカメラのレンズは崖の端の一点に向いていた.よく見るとレンズの先には有名な小便小僧の小さな像が立っていた.
私もバスを降りてゆっくり小便小僧を見物して行きたかったが、そんな訳にも行かずバスの窓越しにカメラを構えることしかできなかった.皆カーブの途中に車を停めるのでこの付近はちょっとした渋滞になっていた.
祖谷渓谷沿いの道は細くてカーブが激しいので、バスに乗っていても結構楽しくスリリングな道だった.高所恐怖症の人には向かないかも知れない.予定よりも半日遅れて池田に着いたので、予定していた別格13番 仙龍寺へ行くことは諦めて、JR土讃線で善通寺へ向かい、西行が隠棲していたという曼荼羅寺近くの西行庵を訪ねることにした.