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2014
弘川寺
弘川寺(大阪府河南町)
大阪府の南西にある大和葛城山の麓に弘川寺という真言宗の古刹がある.このお寺は西行終焉の地として知られており、伊勢を引き上げて後、入寂までの最晩年をこの地で過ごしたと言われている.江戸時代中期に似雲という西行を慕っている歌僧がこの地を訪れ西行の墓を発見しこの寺の境内に庵を建てて住み西行の顕彰に尽くしたと言う.
西行が何故この地を終焉の地に選んだのかは想像するしか無いが、高野山と都との中間に位置し、人里近くにある静かな山間のこの地は、年老いて体の自由が利かなくなりつつある西行にとっては、ある程度土地勘が有り、人里にも近く都に居る俊成や定家などの旧知の知人とも音信を取ることのできるこのような場所を選んだのだろう.寺の裏手にある小高い丘の上からは大阪湾まで一望できる見晴らしの良い場所で、讃岐時代の西行庵も同じように瀬戸内海の島々を見渡すことのできる小高い丘の上に建てられていたので、晩年の西行はこのような風光明媚な場所を好んで住んでいたのだろう.西行を偲んであたり一帯に桜が植えられているが、吉野山のような派手な演出がない分つつましく感じられる.眺めの良い小高い丘の上で西行さんが見ていたであろう光景を想像しながら、散る桜の花びらの下で暫し佇んでいた.