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2009
積丹岳
積丹岳(標高1,255m)へ
所用で札幌へ行ったついでに積丹岳へ登ってみた.積丹岳は地元の登山愛好家以外にはあまり知られた山ではないが、積丹半島の山々で唯一登山道が整備された初心者でも比較的登り易い山だ.
この山はどちらかというと冬から春先にかけてのジェットヘリによるスキーが楽しめる山として知られているようだった.ヘリコプターで頂上付近まで一っ飛びしてそこから一気に麓まで滑って降りてくることができる、日本では珍しい本格的なダウンヒルを楽しめると言う.一般的なスキー場ではないので、深雪をかき分けコースのない斜面を滑り降りるのはかなりの熟練したテクニックを要するだろうが、一度は滑ってみたいものだ.
朝一番の小樽方面へ行く普通列車に乗り、小樽駅でJRから中央バスの積丹方面神威岬行きのバスに乗り換える予定だったが、小樽駅に到着する時刻がバスの出発時刻と同じ午前7時なので、残念ながら小樽駅で乗り換えることができない.次の神威岬行きのバスは2時間後になってしまう.タクシーでバスを追いかけることも考えたが、幸いなことにJRの列車が小樽よりも先の然別行きで、余市駅の到着時刻が神威岬行きのバスよりも数分早く着くようだった.小樽駅で列車を降りずにそのまま余市駅まで向かい、余市駅前から神威岬行きのバスに乗り換えることにした.
余市駅を降りると大きなザックを背負った若い男性が駆け足で私を追い越して行った.駅前の積丹方面のバス乗り場に着くと先程の若い男性が神威岬行きのバス停に居た.どうやら彼も私と同じ行動を取っていたようだった.
バスの中で彼と話をする機会があったので旅行の事や大学の事など色々と話をした.彼は松山出身で現在は京大の3年生で、夏休みを利用して北海道を主にヒッチハイクで放浪しているのだという.昔は北海道の主要駅にはテント小屋が建てられていて、夏ともなるとカニ族と呼ばれるバックパッカー連中が大勢居たのだが、最近はモーターバイクや自転車のツーリング族ぐらいしか見かけなくなった.彼のようなお金を掛けずに旅を楽しむ青年がまだ居ることが何となく頼もしかった.
バスは風光明媚な美しい海岸線を走って行くが、崖と海の間の曲がりくねった細い道を走っていると、どうしても十数年前のトンネル崩落事故を思い出してしまう.現在は新しい迂回路やトンネルが新設されてかつてのような危険な場所は大部少なくなったと言う.あまりにも美しい積丹の景色に触れていると、こんな美しい場所であんな悲惨な事故が起きたことがにわかには信じられない.
バスは美国(びくに)を過ぎると海を離れ山の方へ入って行く.婦美原野地区という所にある登山口という停留所でバスを降りた.登山道の入り口はバス停からほんの30m位美国側に戻った所にあった.入り口から水源池までは舗装された道が続くが、その先から休憩所までは砂利道が続く退屈な上り坂だった.登山口から45分程で休憩所に着いた.休憩所までは車で上ってくることができる.私が休憩所に着いたときには釧路ナンバーのバンが1台と滋賀県ナンバーのバイクが1台停まっていた.どうやら登山の先客が居るようだ.
休憩所の中は驚くほど立派で、休憩所というよりはれっきとした山小屋だ.布団や石油ストーブまで用意されている.沢の水が引かれていてここで冷たい水を思う存分補給できる.登山届けのノートを見ると、今日は私を含めて3人しか登山客は居ないようだ.平日とは言えお盆休みの最中にこの人数しか登山客が居ないというのも少し寂しいような気がする.
休憩所で一休みした後登山道へ向かった.休憩所から先は車は入れなくなり、土の本格的な山道が頂上まで続く.登り始めて直ぐに3合目に到達した.ここから先1合目毎に標識が立っているので、自分がどの地点に居るのか分かり易い.8合目までは殆ど視界が開けることがなく、忍耐を強いられる登りが続く.
途中休憩を全く取らずに登っていたら、8合目と9合目の中間あたりでとうとう左足が痙攣を起こしてしまった.20〜30分くらい休憩を取ってから再び痙攣が起きないように、頂上までだましだましゆっくりと登って行くことにした.
ようやく頂上に着いたが、残念ながらこの日は曇りがちで思ったような展望が得られなかった.頂上で1時間程ゆっくり休憩した後、山を降りることにした.
普段山登りをしている人であれば、休憩所から頂上までは2時間〜2時間半くらいで登れるだろう.登山口からでも3〜4時間もあれば頂上へ到達できるだろう.単調な上りが続き視界も開けないので、結構しんどいが初心者でも安心して登れる山と言えるだろう.
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