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2008

自動給水装置の製作(灯油ポンプ改造型 )

灯油ポンプ改造型 自動給水装置の製作


自動給水装置 1号 灯油ポンプ改造型 自動給水装置 1号

自作派アクアリストの皆さんであれば、自動給水装置の一つや二つは作った経験があることと思う.サイフォン方式や電動ポンプを利用した物、RO浄水器と電磁弁を組み合わせた物など様々な自動化の方法がある.サイフォン方式は仕組みが単純で複雑な装置もいらないので便利なのだが、いまいち信頼性や安定性に欠けるような気がする.勿論工夫次第で信頼性のある装置を作ることは可能だと思うが.


サイフォン方式でペットボトルを利用した自動給水装置を自作している方が多くいるようだが、小型の水槽には向いていても、100リットルを超えるような水槽には焼け石に水だ.


水槽の近くに水道設備があって、RO浄水器からダイレクトに給水できるのであれば電磁弁を使って浄水器のON/OFF を制御できる.この場合 RO水を運ばなくても済むので楽なのだが、装置が壊れた場合でも水浸しにならないようなフェイルセーフ装置が必要となる.このような恵まれた水槽設備を用意できる方はほんの一握りではないだろうか.中・大型水槽を設置している方々の多くは、RO水などをポリタンクに溜めて、こまめに補給しているのではないだろうか.多くのアクアリストにとって水分補給は面倒で手間の掛かる作業だ.


そこで今回は、20リッターのポリタンクから電動ポンプによって給水する装置を製作することにした.20リッターくらいあれば1週間くらいはポリタンクに補水することなく水槽の水位を維持できそうだ.


今回この装置を作ることになったきっかけは、近所のスーパーで灯油用の乾電池式ポンプが安く(1,980円)売られていたのを見つけたからだ.この灯油ポンプはポリタンクの口にぴったりとはまるようになっていて、しかも自動ストップ機能まで付いていた.これはもう自動給水装置を作るしかないという訳で、勢いに任せて作ってしまった.幸い以前に作った自動給水装置にちょっと手を加えるだけで簡単に作れそうだったので、新たに調達するパーツも殆ど無く安価に製作できた.



 まず今回使用した乾電池式の灯油ポンプだが、工進というメーカーの製品で、ママオート EP-503F という型番の物だ.ホームページには載っていなかったので、既に生産中止の製品かもしれない.分解する前の写真を撮っておけば良かったのだが、撮り忘れてしまいたのでメーカーの説明書の図を引用しておくる.



EP-503 説明書 EP-503Fの説明書

EP-503本体を分解する EP-503本体を分解する 



【 補足 10/8 2010 】


先日ママオート EP-503Fのポンプが故障したので、ホームセンターでEP-503FBを購入した.型番の最後にBが付くのは、ブザー付きで自動停止時にブザーが鳴って給油の修了を知らせてくれるタイプだそうだ.



ママオート EP-503FB
EP-503FB 


早速分解してどのような仕組みになっているのか調べてみることにする.仕組みはいたって簡単で、ポリタンク内に挿入されたホースの先に小型のモーター式ポンプが付いていて灯油を汲み上げるようになっている.ホースの先には燃料タンクに差し込むアダプター装置が付いていて、そこに溢れ防止のためのセンサースイッチが付いている.メインスイッチはメカニカル接点方式で、物理的な弁の開閉の役割も担っている.


この溢れ防止センサーは一度作動すると電源を再投入するまでは、回路がOFFの状態を保ったままになるようだ.灯油のレベルが下がっても再び回路がONになることはない.安全上はこのような設計の方が好ましいのだが、水槽の水位センサーとしてはちょっと使いにくい.できれば水位が下がったときに再び ON になってくれないと困る.


単純にこの灯油ポンプを自動給水装置として使うという訳には行かないようだ.まず、メインスイッチとして使っているメカニカルスイッチだが、これでは使えないので他のスイッチを検討しなければならない.メカニカル弁としての機能も諦めざる負えない.


オリジナルの回路構成を下図に示する.



Original Circuit Diagram オリジナルの回路図

この回路は、まずメカニカルなメインスイッチがONになると、水位センサーに電源が供給され、水位センサーに組み込まれている電子スイッチがON(灰と黄の線が導通状態)になり、+3Vの電源がモータに供給されるようになっている.水位センサーが水(灯油)を検知すると、電子スイッチがOFFになり、自動的にモーターがストップするという仕組みになっている.


まず、メインスイッチの機能を代行するために、単純にフロートスイッチをメインスイッチとしてモーターの ON/OFF を制御すれば良さそうだが、フロートスイッチ自体がモータの負荷に耐えられるかどうか不安が残る.


今回使用予定のフロートスイッチは小型の小容量タイプで、中央の白いパイプの中にリードスイッチと呼ばれる磁石に反応する接点が組み込まれていて、周りの黒いフロート(浮き)部分に組み込まれた小型の磁石が上下することによって、接点を ON/OFF する仕組みになっている.黒いフロートの上下を逆さまにすることによって、ON/OFFの関係を逆転させることができる.



Original Circuit Diagram フロートスイッチ(左)とリードスイッチ(右)

今回用いたフロートスイッチの仕様では、最大電流容量が 500mA(抵抗負荷時)になっている.つまりこのタイプのスイッチでは、モーターのような大きな誘導性の電流が流れるデバイスの ON/OFF の制御には向いていない.


小型のDCモーターなのでそれ程大きな電流は流れないと思うが、念のためこのポンプのモータにどの程度の電流が流れるのか実測してみることにした.


モーターに規定電圧(DC 3V)を印加した場合の電流は、無負荷状態で 410mA だった.やはりこのモータを今回用意したフロートスイッチで制御するのは止めた方が良さそうだ.モーターの起動時の電流(突入電流)やリードスイッチの接点の融着が心配だ.


フロートスイッチでモーターを直接制御することは諦めざる負えないが、幸いなことにこのオリジナル回路の不便さを逆手に取れば、フロートスイッチでモーターを直接制御することなく、上手くモータのON/OFFをコントロールできそうだ.


それはどういう事かというと、モータの ON/OFF はフロートスイッチではなく、水位センサーの電子スイッチで行い、フロートスイッチ自体は単にこの水位レベルセンサーの電源のON/OFFに使うことにすれば、フロートスイッチには水位センサーの微弱な電流しか流れません.つまり水位センサーをリレーのように使うことになる.


このような組み合わせにすれば、フロートスイッチと水位センサーの2つのセンサーで水位の監視が行えるので、安全性という意味でも好都合だ.まさに一石二鳥だ.


この灯油ポンプは単3乾電池4本を直並列(+3V)にして使いるが、乾電池では心許ないので、乾電池の使用を止めて完全に外部からの電源供給に変更することにした.


どうせならこの水位センサー機能を利用してついでにAC電源の制御もやってしまおうという訳で「AC電源制御機能付き自動給水装置」の回路図だ.


自動給水装置の回路図 自動給水装置の回路図

今回使用したパーツについて簡単に説明する.基本的に現在使っている自動給水装置と手持ちのジャンクパーツからの流用だので、ほとんどコストが掛かっていない.


 ・フロートスイッチ: OLV-2A 株式会社ノーケン 2,100円
   秋葉原のラジオセンター(ガード下のパーツ屋)にある田中無線電機で購入.
 ・リレー : G6B-1177P オムロン  1a接点 Ag合金接点 DC5V駆動 接点容量 8A250V AC 600円程度

 ・3端子レギュレータ: +3V 1A 出力  7803, 4803 など.
    今回使用したのは NECの 2903 という型番のもの.
    バイパスコンデンサを忘れずに入れること.
    入力側には 0.1μF 以上の積層セラミックコンデンサ、
    出力側に 47μFの電解コンデンサを使用.
    3Vの製品が手に入らない場合は入手し易い3.3Vの製品を使って下さい.

 ・水位センサー : 灯油ポンプ EP-503F のものを流用.仕様は不明.

  ・電源モジュール : スタンレー電気製 PB155-A (+5V 3A)
          小型のローノイズスイッチング電源モジュール
          以前、秋月電子で売っていたジャンクパーツ (500円程度だったと思う)

実際に組み立てる前に、想定通り動作するかブレッドボード上に回路を作り、動作検証しておく.この手の実験を行うにはブレッドボードは大変便利なので、これから電子工作に挑戦しようという方にはお薦めだ.



・フロートスイッチを上下させるとモーターとリレーの ON/OFF が確かに切り替わる.
・フロートスイッチをONにした状態で、水位センサーを水に浸けるときちんとOFFになる.
・水位センサーを水から離しても 再び ON になることはない.
・フロートスイッチを一旦OFFにして再度ONにすると再び回路が ON になる.


どうやら問題は無さそうだ.


今回の回路構成ではフロートスイッチに流れる電流は、水位センサーの微弱な電流のみだのでフロートスイッチの許容電流・電圧を気にする必要はない.リレーの駆動電流は実測で 41mA程度だった.


コントローラーのケースは手元に余っていたタカチのPR-140Gを使用し、バナナチップ端子で外部に+3Vを供給できるようにしてある.この端子にポンプのモーターとフロートスイッチ、水位センサーをつなぐ.


白と黒のバナナ端子を短絡/解放する事で、リレーを制御できるので、単純にフロートスイッチだけをつないでAC機器のON/OFFコントローラとしても利用可能になっている.


フロートスイッチで低消費電力のAC機器を直接ON/OFFする事は可能だが、何せ相手は海水なのでフロートスイッチをAC100Vで使うのは止めたほうが良い.非常に危険だ.


今回はスペースの都合で Fuse Box は取り付けていないが、なるべく付けておいた方が良いだろう.可能であればリレーの接点にはチャタリング防止のコンデンサやスパークキラーを取り付けておいた方が良いだろう.



 
TanakaMusen.jpg MainParts.jpg CircuitCheckOnBreadBoard.jpg ControllerSystem.jpg


AC電源にも極性があるのをご存じだか?


蛇足だが、回路図中のAC回路部分のN,L の記号は N(ニュートラル側)、L(ライン側)の意味だ.大抵のAC機器はこの極性が逆でも動作はするが、ノイズの影響を受けやすい機器(測定器、オーディオ機器、医療機器やコンピュータなど)ではこの極性は重要だ.ノイズ面ばかりではなく、感電防止という観点からもAC電源の極性は統一して下さい.特にアクアリウムなどの水廻りで使用する機器は感電する危険性が高いのできちんとした電気の知識を身につけて置いて下さい.


 

ちなみに3P型のアース付きコンセントでは、コンセントに向かって左側が N(ニュートラル側)だ.日本で一般的な2Pコンセントも向かって左側が N(ニュートラル側)だ.左側の穴の高さが右より大きめになっている.尤もいい加減な電気工事業者が多いので、この極性が守られていない例も多く見かけますので、できれば検電ドライバやテスターなどを使って自分で確認しておきましょう.


検電ドライバの場合はランプが光った方が L(ライン側)だ.テスターの場合は、AC電圧測定モードでテスター棒の片方を握り、もう一方のテスター棒を電源コンセントの片側に突っ込んで見て下さい.メータの針が大きく振れる(通常数十ボルト)方が L(ライン側)だ.但しテスターの場合は間違っても電流測定モードでこの作業を行わないで下さいね.感電する!!!


それにしても日本の家庭用のACコンセント(2P)の規格は困り物だ.何故アース端子付きの3Pコンセントを義務付けないのか理解に苦しみます.お役所は国民の安全性よりも業界の利益優先なのだろうね.


水廻りで使う機器の極性や接地(アース)には特に気を遣いましょう.


【補足 10/20 2010 :503FB(ブザー付きタイプ)の回路構成について】


ブザー付きの 503FB タイプと 503F の回路的な違いは殆どないので、ブザーの機能を使わなければ先の記事の内容通りで構いません(オレンジ色の線を無視すれば良い)が、折角ブザーの機能が有るのだからこれを有効に使わない手はない.


尤も今回の自動給水システムの場合は、最初のフロートスイッチが何らかの原因でOFFにならなかった場合に二段目の水位センサーが水溢れを検知した場合にのみ警報として鳴る事になる.結構大きな音が鳴りますので警報として最適だろう.システムが正常に機能していれば決して鳴ることはないので、ブザー音が煩わしいということも無いだろう.


最初の503F の場合と配線の色使いが異なっているのでご注意下さい.フロートSWの挿入位置もGND側に変更してある.



【乾電池式灯油ポンプの耐久性・信頼性について】


これまで2台の灯油ポンプをサンプの自動給水装置の補水装置として使ってきたが、信頼性や耐久性という面では心許ないような気がする.ポンプ部のモーターの防水性能や使用しているセンサーや回路の信頼性は低いと言わざる負えないだろう.


この値段では仕方がないことだと思うが、耐久性を求めるのであればやはりマキシジェットのような水中タイプのパワーヘッドを使用した方が良さそうだ.



503FBのブザー回路基盤 503FBのブザー回路基盤
503FBのオリジナル回路図 503FBのオリジナル回路図
503FBの場合の参考回路 503FBの場合の参考回路
センサー部分のパイプを一部カット
センサー部分のパイプを一部カットする
フロートSWより少し上に取り付ける
フロートSWより少し上に取り付ける