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2019
殺生石
那須連山縦走の筈が...
先週の関山の頂上からの那須連山を見て、雪が降る前に登っておこうと思い、二週連続で朝一の新幹線で那須へ向かった.関東平野は殆ど雲一つ無い快晴であったが、奥日光や那須の山々の周辺は雲で覆われてしまっていた.この山域の雲も朝方だけだろうと予想してそのままバスで那須ロープウェイまで向かった.
山に近づくにつれて雨が降り出しどんどん天気が悪くなって行く.バスの運転手さんが無線の情報でロープウェイが強風のため運行していない事を教えてくれた.とりあえずロープウェイの駅で天候が回復するのを待って、三本槍岳を目指すことにした.
結局ロープウェイ駅で1時間半程待ったが、ロープウェイの山頂駅の風速計は25m/s以上ということで、山の上の風速は台風並みのようだ.今日は冬山装備でもない日帰りの軽装なので、三本槍岳は諦めて芭蕉の『奥の細道』で一躍有名になった「殺生石」に立ち寄ってから帰宅することにした.
できれば芭蕉の足取りを追って、先週の芦野の里まで繋げてみたかったが、道路状況が(歩くには)劣悪で、観光客の車がひっきりなしに通る路肩のない下りの真っ直ぐな舗装道路なんぞ、とても怖くて歩けた物ではない.
大丸温泉の駐車場の横からスキー場方面へ抜ける地道があったので、そこから殺生石のある湯本温泉方面へ下りることのできる自然歩道に入ってみた.途中でトレイルランナーの集団とすれ違っただけで、それ以外誰とも会わなかった.
殺生石へ向かう前に標識に展望台の案内があったので、ほんの軽い気持ちでそちらへ向かったが、この展望台までは結構長い登りが待っていた.『恋人たちの展望台』などと観光地らしい胡散臭い名前が付いているが、那須連山や麓の那須エリア一帯を一望することのできる良い場所だった.
殺生石は斜面に置かれたやや大きな黒い石で、廻りにしめ縄が結ばれていなければこれが殺生石とはわからない何の変哲も無い石だ.芭蕉がこの殺生石を取り上げたお陰で、湯本温泉は未だに観光地としてそれなりにやっていけるのかもしれない.
『奥の細道』では、芭蕉は「殺生石」のことを大袈裟に次のように記している.
殺生石・白河の関
殺生石は温泉(いでゆ)の出づる山陰にあり.石の毒気いまだ滅びず、蜂・蝶(てふ)のたぐひ、真砂の色の見えぬほど重なり死す.
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