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2020
松島
松島
日本三景の一つとして名高い松島は、奥の細道の旅の前半のハイライトとでも言うべき目的地で、奥の細道本文の「発端」で「松島の月先心にかかりて」と述べているばかりではなく、「松島」の記述に多くの行を費やしていることからも芭蕉の松島に対する思いが伝わってくる.
芭蕉と曽良が塩竈の港から船で松島へ渡っているので、同じように塩釜の港から出ている遊覧船で松島入りすることにした.朝9時に出航する第一便に乗船したが、平日ということもあり90人ほど乗れる遊覧船はガラガラだった.遊覧船は芭蕉が辿ったと思われるコースを再現しながら松島の桟橋へと向かう.
遊覧船では音声ガイドで湾内の名前の付いた島々を紹介してくれるので、湾内の地図と照らし合わせながら現在地を確認することができる.湾内はほとんど波が立たないので、船が苦手な人でも大丈夫だろう.40分ほどで松島海岸の桟橋に到着した.
松島海岸は如何にも観光地という趣で、観光地特有の胡散臭さが漂っている.長居は無用ということで国宝の瑞巌寺へ向かう.歴代の仙台藩主の庇護を受けた歴史のある立派なお寺で、欄間の透かし彫りやふすま絵など豪華絢爛たる美術工芸は見事だ.
白河の関で芭蕉が句を詠まなかった(詠めなかった?)ように、松島でも句を残してはいない.奥の細道本文での松島の記述から芭蕉が松島の景色や歴史的な重みに感動したことは間違いないようだ.
現在の松島はあまりにも観光地化されて俗化してしまっているので、芭蕉と同じような感動を覚える事はできないのかもしれない.日本三大がっかり名所にならなければ良いのだが...
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