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08
2020
安積山(浅香山)
安積山
年末に仙台周辺の歌枕を幾つか訪ねたが、手元に残っている18切符の消化も兼ねて『奥の細道』に記載されている歌枕でまだ訪れていない地を訪ねてみることにした.
浅香山(安積山)
安積山と安積沼は古くから名の知れた歌枕の地ではあるが、芭蕉は正確な場所を知っていたわけではなく、須賀川に滞在している間に等躬に安積山の場所を訪ねている.
芭蕉と曽良が安積山を訪れたのは、旧暦の五月一日(現代の暦では6月16日)で、曽良の日記では、
五月朔日 天気快晴
日出ノ比、宿ヲ出.壱里半来テヒハダノ宿、馬次也.
町はづれ五六丁程過テ、あさか山有.
壱リ塚ノキハ也.右ノ方ニ有小山也.
アサカノ沼左ノ方、谷也.皆田ニ也、沼モ少残ル.
総而ソノ辺山より水出ル故、いずれの谷ニも田有.
いにしへ皆沼ナラント思也.
と記されている.
東北本線郡山駅から仙台寄りに一駅行った所に日和田駅という無人の駅があり、駅前から200m程離れた所を旧奥州街道が通っている.その道を800m程北上すると道路沿いの右手に小さな公園の丘があり、そこが安積山だという.曽良は「小山」と記しているが、山と呼ぶには些か憚られるようなとても小さな低い丘だ.丘というよりは大きな塚と行った方が実態に合っているかもしれない.
この小さな丘が古くから歌われてきた「安積山」なのかどうかは分からないが、芭蕉と曽良が「安積山」と信じていたのは間違いないようだ.芭蕉はこの地で「花かつみ」という草花について地元の人達に訪ね廻ったが誰も知っている者が居らず、とうとう日が暮れてしまったと奥の細道では大袈裟に書いている.
今回は郡山駅での乗り継ぎが上手く行かなかったので、郡山駅から福島交通の路線バスで、日和田駅の西側1km程離れた場所にあるイオン系列の大型ショッピングモール「フェスタ」行のバスを利用した.東北本線とは言え、この辺りまで来ると昼間の時間帯は1時間に一本程度の電車しかないので、電車、バス、タクシー、徒歩を上手く組み合わせて移動しないと、効率よく歌枕の地を巡ることはできない.
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